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“フェリス卒お嬢様タッグ”も結成…人気女子レスラー・桜井麻衣が“狂乱の貴婦人”から変化した理由とは?「意外と人の言葉をよく聞くタイプ(笑)」
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/09/28 17:03
マリーゴールド看板タイトルの1つ、ユナイテッド・ナショナル(UN)王者の桜井麻衣
ジュリアの跡を継いで団体を引っ張る。それは具体的なミッションだったのだ。もうガムシャラに自分が強くなることだけを目指す時期ではなくなった。それをはっきり意識したと桜井は言う。
合同練習では指導もするようになった。対戦が決まった後輩の練習ぶりに苦言を呈したこともある。スターダム出身選手とアクトレスガールズからの移籍組のまとまりに気を揉んだりもした。
頭突き連発…“狂乱の貴婦人”からの変化
責任感がさらに強まったのが、今年1月のUN王座戴冠。初めてのシングルタイトルだった。“純白のベルト”UN王座は“真紅のベルト”ワールド王座とともに団体の2枚看板と言える。
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「チャンピオンになって思ったのは“休めない”ということ。団体を代表する存在として、試合に穴をあけちゃいけないんです。そのためにはケガができない」
それまでの桜井は“狂乱の貴婦人”を名乗ったこともあり無鉄砲なファイトが持ち味の一つだった。頭突きを連発して自分が脳震盪を起こしたこともあるそうだ。極端に言えば「明日どうなってもいい」という闘い。しかしそれでは、チャンピオンらしい試合はできない。
「挑戦者のいいところを全部受け止めて、なおかつケガをせず、お客さんに満足してもらうにはどうすればいいか。凄く考えました」
大きな助けになったのが、7月からマリーゴールドの専属コーチに就任した男子レスラー・近藤修司の存在だ。
「やっぱり選手同士で教え合うのは限界があるんですよ。お互い深い部分までは言及できないので」
所属選手ではない近藤には、試合での疑問点や自分の課題を聞くことができるし、遠慮なく指摘してもらえる。
「近藤コーチと話したのは“百発百中”の技で試合を構築することです。失敗するかもしれないけど“やっちゃえ”というギャンブルはしない。それがケガを避けることにも試合のクオリティを上げることにもつながると」


