テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

大谷翔平の偉業が「普通」になりつつある違和感…50号+5回無安打投球に、番記者はヘロヘロでも高揚した「ロバーツ監督も“MVPは一方的だ”」 

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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posted2025/09/23 06:03

大谷翔平の偉業が「普通」になりつつある違和感…50号+5回無安打投球に、番記者はヘロヘロでも高揚した「ロバーツ監督も“MVPは一方的だ”」<Number Web> photograph by Naoyuki Yanagihara

打っては50号ホームラン、投げては5回無安打の好投を見せた試合後、囲み取材に応じた大谷翔平

「PS進出時に救援に回ることを想定しているか?」と問われ、「いろいろな人といろいろな話をして、その話も出た。どこでも行けと言われた時に対応ができる準備をしたい」と言った直後だ。

「もしかしたら外野も……。リリーフでいくということは、その後のことも考えると、外野の守備にも就かなければいけない状況もあると思う」

“あるとすればクローザー起用”とロバーツが話したことも

 PSに必要な先発投手は4人で、候補は山本由伸、ブレーク・スネル、タイラー・グラスノー、今季限りでの引退を発表したクレイトン・カーショー、エメ・シーハンとなる。対照的に救援陣はシーズン終盤に来て不安定さを露呈していた。2022年から導入された投手がDHを兼ねる「大谷ルール」は先発のみの適用で、ロバーツ監督も以前から「(救援登板が)あるとすれば試合を締める役割」と話していた。

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 抑えで投げる場合はDHが解除される。つまり同点や逆転を許して降板した展開で打者として残るには守備に就くしかない。PSも延長戦はタイブレーク制のため、大谷が打線にいるメリットは捨てがたい。

 大谷が触れた“ウルトラプラン”を伝え聞いたデーブ・ロバーツ監督は「彼は優勝のために何でもやろうとしている。ただ、今季は一度も外野フライを捕っていないよね」と笑った。ただ、昨秋のPSでは「潜在的には間違いなく左翼手としての起用になる」と可能性を探っていたことも事実だ。

 日本ハム時代は1、2年目に計62試合、メジャーではエンゼルス時代の21年に7試合で外野出場している。ただエンゼルスでは右翼6試合、左翼1試合で守備機会はなかった。大谷は外野手用と一塁手用のグラブが手元に届いた昨春キャンプで「事前の準備が大事」と話していたことがある。ワールドシリーズ連覇の瞬間はマウンドか、それとも外野か。メジャー8年目も想像を超える結末を迎える気がしてならないのは私だけだろうか。

大谷の偉業が「普通」になっている違和感

 この囲み取材、米メディアからの質問は5つで、全て投手に関することだった。PSに向けて6イニング目を投げられるかというテーマに集中し、打者に関する質問は一切出なかった。

 私は当初「救援への意欲」について質問しようと思っていたが、方針転換して史上6人目の2年連続50本という節目に到達したことと、シュワーバーとの本塁打王争いへの意識を合わせて1番目に質問した。その後、3番目に質問した日本人記者が「ポストシーズン進出時に救援に回ることを想定しているか?」と問いかけたことで、誰もが想像していなかった外野の可能性にまで話が膨らんだのだった。

 日米メディアの原稿テーマはかなり違う。それは仕方のないことだが、同時に大谷の偉業が「普通」になっていることに違和感を覚えた。

【次ページ】 ヘロヘロになっても“大谷取材”はやめられない

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