テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

大谷翔平の偉業が「普通」になりつつある違和感…50号+5回無安打投球に、番記者はヘロヘロでも高揚した「ロバーツ監督も“MVPは一方的だ”」

posted2025/09/23 06:03

 
大谷翔平の偉業が「普通」になりつつある違和感…50号+5回無安打投球に、番記者はヘロヘロでも高揚した「ロバーツ監督も“MVPは一方的だ”」<Number Web> photograph by Naoyuki Yanagihara

打っては50号ホームラン、投げては5回無安打の好投を見せた試合後、囲み取材に応じた大谷翔平

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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Naoyuki Yanagihara

ワールドシリーズ連覇に向けて、勝負の秋を迎えた大谷翔平とロサンゼルス・ドジャース。日本ハム時代から大谷を追う番記者が“テレビに映らない舞台裏”を記す。〈NumberWebレポート:随時配信〉

シュワーバー、ハーパーを制圧…満面の笑み

 9月16日、ナ・リーグ東地区の強豪フィリーズとの第2戦、大谷翔平が先発マウンドに上がった。

 初回1死で迎えた本塁打王を争う2番打者カイル・シュワーバーとの激突では、初球に101.7マイル(約163.6キロ)を計測。6月28日のロイヤルズ戦と並ぶメジャー公式戦での自己最速タイでファウルに押し込み、2球目以降は変化球を続け、最後はスライダーで見逃し三振を奪った。4回の2度目の対決も初球から99マイル(約159キロ)台の直球を続け、最後はカットボールで左飛。続く主砲ブライス・ハーパーもカーブで空振り三振に仕留めた。

 気になったのは、攻守交代でマウンドに上がる「裏」のイニングで、大谷が毎回なかなかマウンドに姿を現さなかったことだ。

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 走者として残った1回裏はもちろん、最後の打者となった2回裏、ネクストバッターズサークルで終えた4回裏は、レガースを外したりするなど物理的に野手から投手に切り替える準備時間が必要だったが、それでも各回毎に一度ベンチ裏に戻っていた。

 記者席では体調を心配する声も挙がったが、球場入りの時間帯同様、ルーティンに変化を加えているようにも映った。

 許した走者は初回2死から与えた四球の1人だけ。大谷は5回を無安打無失点で投げ終え、打席に入る準備をしながらデーブ・ロバーツ監督と会話し、満面の笑みを向けた。まだ68球ながら予定通りの5イニングで交代。フィリーズとはエンゼルス時代を通じて投手では初対戦。両リーグ最速で地区優勝を決めたばかりの強力打線を力でねじ伏せた。

「もしかしたら外野も…リリーフでいくということは」

 これだけでは終わらなかった。

 打者としては、2点を追う8回先頭で右腕デービッド・ロバートソンの内角カットボールを捉え、高々と舞い上がって右翼後方のブルペンに届いた。リーグ最多53発のシュワーバーに再び3本差。元祖二刀流ベーブ・ルースらに並ぶ大リーグ史上6人目の2年連続50本塁打を達成した。

 この日は投手としても5三振を奪って計54奪三振。ルースもできなかった史上初の「50本塁打&50奪三振」を達成したという記録がSNSで一気に拡散された。「54本塁打&59盗塁」の昨季に続き、もう一つ新たな「50-50」の金字塔をつくった。大谷の一発をきっかけに同点に追い付くも、9回に勝ち越され万事休す。「ポストシーズン前哨戦」は連敗スタートとなったが、主役は大谷だった。

 クラブハウス前で行われた試合後の囲み取材でのこと。大谷の返答は想像の上をいった。

【次ページ】 「もしかしたら外野も…リリーフでいくということは」

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