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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
井上尚弥に完敗「表情がね、どんどん変わって…」“アフマダリエフの絶望”を長谷川穂積は見た…中谷潤人の勝算は?「あのジャブを殺さないと勝てない」
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渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/09/21 11:05
井上尚弥に“空転”させられた挑戦者ムロジョン・アフマダリエフ。その表情は次第に絶望の色が濃くなっていった
アマでもプロでも偉大な実績を残してきたアフマダリエフはリング上でこれほどの絶望感を味わったことはなかったに違いない。
「アフマダリエフは得意の左をもっと出せばいいじゃないか、と思いながら見ていたんです。左拳を痛めているのかなとも一瞬思ったんですけど、やっぱりどうにもできなかったんでしょう。左の当たる位置に井上選手がいない。表情がね、どんどん変わっていったじゃないですか。『どうすれば勝てるのかまったく分からない』という表情に。あれが象徴的でした。まあ、あのボクシングをされたら勝てませんね」
中谷潤人は井上尚弥のジャブを“殺せる”のか
これにより次は12月27日、サウジアラビアで行われるWBC1位アラン・ピカソ(メキシコ)との試合が主催者から発表された。試合間隔が3カ月あまりと短く、サウジアラビアで初めての試合ということが不安要素にあがるが、長谷川さんは心配していない。
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「間隔が短いのは確かに大変でしょうが、そこはうまく調整するでしょう。そもそも今回の戦い方は12月の試合を頭に入れているようにも見えました。もし12月が既に決まっていたのであれば、怪我したりダメージを負ったりはできない。であればあの戦い方はベストです。もしくは速攻で倒す手もありますが、アフマダリエフ相手に速攻で倒すのは難しいですから。サウジアラビアに関しては初めてですけど、他に日本選手もたくさん出場するみたいですから心強いんじゃないでしょうか」
さあ、そして井上と中谷がともに12月のサウジアラビアでの試合をクリアすれば、両雄の対決がいよいよ来春、実現する見込みだ。長谷川さんは今回の試合を踏まえて次のように語った。
「井上選手のあのジャブをどうするか。あのジャブをどう殺すかがポイントになります。それをなくして井上選手に勝つことはできない。そもそもオーソドックスの選手がサウスポー相手にジャブを当てるのは難しいんです。それなのに、いとも簡単に強烈なジャブをポンポン当てる。『呪術廻戦』でいったら“領域展開”の話ですよ(笑)。井上選手がサウスポーの中谷選手に対してどんなボクシングを選択するかは分かりません。ただ、中谷選手があのジャブにどう対応するかは見ものです」


