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「イノウエが猛攻を仕掛けてくる、と思った」井上尚弥に圧倒された“敗者の誤算”…アフマダリエフが英国人記者に明かした本音「MJは不満げだった」

posted2025/09/21 17:01

 
「イノウエが猛攻を仕掛けてくる、と思った」井上尚弥に圧倒された“敗者の誤算”…アフマダリエフが英国人記者に明かした本音「MJは不満げだった」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

井上尚弥に判定負けを喫したアフマダリエフ

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NumberWeb編集部

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Naoki Fukuda

井上尚弥の一戦を見届けるために6年ぶりに来日した英国人ライター、トム・グレイ氏。試合翌日に、敗者アフマダリエフのインタビューを行っていた。ジャーナリスト杉浦大介との対談シリーズの短縮版をお届けします。

◆◆◆

「イノウエが猛攻を仕掛けてくる」

 MJことムロジョン・アフマダリエフが井上尚弥との一戦に臨む前に立てていた作戦は、ことごとく裏目に出た。アフマダリエフと試合前に独占インタビューを行った英国人ライター、トム・グレイ氏は、敗者に“誤算”があったことを冷静に振り返った。

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 リオ五輪銅メダリストのアフマダリエフは、井上が最近の試合で見せた攻撃的なスタイルに対してカウンターで応じる戦略を立てていた。しかし、井上は完璧に近いアウトボクシングを披露し、アフマダリエフにほとんど反撃の機会を与えなかった。

「MJはリオ五輪で銅メダルを獲得したほどの選手だからもちろん攻撃力を持っているが、自ら前に出て攻め続けるのが得意な選手ではない。それよりも前に出てくる相手にカウンターを合わせる方が好き」(グレイ氏)

試合翌日、アフマダリエフが明かした敗因

 試合翌日、グレイ氏はホテルのロビーでアフマダリエフと再び言葉を交わす機会を得た。そこで明かされたのは、予想外の井上のスタイルに加え、試合前の準備時間が十分に取れなかったという不満だった。

「セミファイナルに登場したタケイ(武居由樹)の試合がKOで早く終わったこともMJには影響した。メイン開始までの時間が早まり、ウォームアップの時間が十分取れなかったと感じていた。最終的には仕方ない面もあるが、慌ててグローブをつけなければいけなかったことは少し残念だったと言っていたし、不満もあったようだ」

 インタビュー時のアフマダリエフは明らかに落ち込んでいた様子だったという。「私たちはしばしば忘れてしまうが、ファンが見るのはリング上での36分間の姿だけだ。しかし、MJは数か月にわたってこの試合にすべてを捧げてきた。だから落胆しているのは当然」とグレイ氏は敗者の心情を代弁する。

 それでも、アフマダリエフは「私は戻ってくる」と前を向く姿勢を見せた。

 英国人ライターが見た井上尚弥の完璧なパフォーマンスと、挑戦者アフマダリエフの誤算。この試合が示した井上の多面性は、今後のキャリアをさらに魅力的なものにすると予見されている。本編ではグレイ氏が名古屋で体験した日本人特有の反応、そして井上尚弥の未来について興味深い考察を披露している。〈つづく〉

 この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。

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#井上尚弥
#ムロジョン・アフマダリエフ

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