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「イノウエを囲む記者が多すぎて…」6年ぶり来日の英国人記者が“井上尚弥”を堪能した名古屋の夜「6000マイルかけて日本に来てよかった」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2025/09/17 11:03

「イノウエを囲む記者が多すぎて…」6年ぶり来日の英国人記者が“井上尚弥”を堪能した名古屋の夜「6000マイルかけて日本に来てよかった」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合後、会見に出席した井上尚弥

 2019年、私はさいたまスーパーアリーナでイノウエとノニト・ドネアの試合を取材した経験があるが、今の“モンスター”の人気はもう当時とは比べ物にならないと感じた。名古屋の駅に行っても至る所にイノウエのポスターが貼られ、映像が流れていた。バス停や計量会場、宿泊したホテルの周りでもイノウエのグッズを身に着けて歩いている人をたくさん見た。

 ワールドボクシング・スーパーシリーズを制したドネアとの第1戦はイノウエにとってブレイクの瞬間だったが、この6年間でずっと大きな存在になった。イギリスやアメリカでもボクシングファンなら『モンスター』の名を知らない人はいないし、世界的に見ても稀有なボクサーであることは間違いない。

 イノウエの人気、知名度が高まったことで、アクセスが難しくなったのは事実ではある。6年前、実は単独インタビューの機会があり、今回も記者会見の場では話を聞けることを願っていた。広報たちに話をしてその機会を得ようとしたが、彼を取り囲む記者は非常に多く、実現しなかった。私は外国から来た者だから単独取材が難しいのは予想通り。それでも試合後の会見でのイノウエは4人の記者の質問に答え、私もそのうちの一人になれた。それが精一杯だろうと分かっていたし、十分だった。

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 彼がここまで偉業を成し遂げてスーパースターになってくれるのなら、アクセスが難しくなるのを私はむしろ歓迎する。彼が4階級制覇や2階級での4団体統一、パウンド・フォー・パウンドのトップ3に入るような偉業を成し遂げるなら、取材が難しくなるのは当然だし、その時代を見られることを幸運に思う気持ちに変わりはない。

 IGアリーナでの取材を終え、会場の外でタクシーを待っている時、ボクシングファンの青年にサインと写真撮影を求められたのも光栄なことだった。私が登場するNumber Webの記事を読んでくれているのだという。イギリスでもなかなかないことだし、ありがたい機会だと感じた。本当に最高の時間を過ごさせてもらい、日本の方々に心から感謝している。

 また来年、日本史上最大級のビッグファイトでここに戻って来られることを楽しみにしているよ。

◇◇◇

試合後、敗れたアフマダリエフのインタビューを行ったグレイ氏。後編では明らかに沈んでいたというMJや家族の様子を明かしている〈続きを読む〉

#2に続く
井上尚弥に完敗「慌ててグローブを…アフマダリエフは不満げだった」英国人記者が目撃した“敗者の誤算”「イノウエがあの戦いをしたらナカタニでも勝てない」

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