スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
織田裕二「ついでに帰ってきちゃいました」賛否両論のホンネ…今やTBS世界陸上名物に「何やってんだよタメ!」「地球に生まれてよかったー」
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNanae Suzuki
posted2025/09/14 17:01
世界陸上に帰ってきた織田裕二。TBSの中継に欠かせない一種の舞台装置ともいえる
「一人ひとり人間ドラマがあって、単に足が速いとかじゃなくて、どの選手にもバックボーンがあり、そういう部分に役者としても共感します」
サッカーの松木安太郎を筆頭に、スポーツ中継では視聴者の声を代弁する“応援型”の名物解説者がいる。ただ彼らは基本的に各競技OBであり、織田の立ち位置が独特なのは、キャスターとして応援型の役割を務めていることだ。
キャスター就任当初、織田に対する批判的な視線は決して少なくはなかった。その主だった理由は、織田のテンションの高さやたびたび口にする、正直な本音である。
ADVERTISEMENT
前述した言葉は、2007年大阪大会の男子400メートル障害に出場した為末大が、まさかの予選敗退に終わった際の一言だ。活字にすると強さが残るものの、2年前の世界陸上で銅メダルを獲得した実績を持つ為末へのリスペクトと期待を持った前提で、思わず漏れた言葉だった。
賛否両論のベースは、織田の存在によって“エンタメ感”が強まることを懸念するものだった。しかし陸上関係者は、海外で行われた世界陸上で織田の熱心な姿を目の当たりにしたことをこう語っている。
「練習とか、一生懸命見ていたりするんですよ」
地球に生まれてよかったー!
東京大会の初日でも、専門家に勝るとも劣らない知識量をすでに見せている。女子100mの予選でTBSが注目選手の1人に挙げたシャカリ・リチャードソンについて、今季のシーズンベストで10秒台が出ておらず、本調子ではないのではと指摘。その率直に語る姿勢は――好き嫌いを超えて視聴者の関心をひきつけるのは確かだろう。大阪大会、アサファ・パウエル、タイソン・ゲイらが激闘を繰り広げた男子100m決勝を受けて、こう叫んだ一言は視聴者の記憶に強く残っている。
「地球に生まれてよかったー!」
織田にしか残せないキャッチーなフレーズは、東京大会でも再び出現するのか。〈世界陸上特集:つづく〉

