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「批判的なことも言われたけど…」GK鈴木彩艶23歳がアメリカ現地で語った“イタリア移籍の本音”…あの“元日本代表監督”と何を話し込んだか? 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2025/09/12 11:04

「批判的なことも言われたけど…」GK鈴木彩艶23歳がアメリカ現地で語った“イタリア移籍の本音”…あの“元日本代表監督”と何を話し込んだか?<Number Web> photograph by Getty Images

メキシコ戦で先発し、安定したプレーで失点0に抑えたGK鈴木彩艶

 強肩でも魅せた。後半の84分に相手クロスをキャッチすると、素早いモーションでスローの体勢を取り、右サイド奥のスペースに50m超の剛速球を供給した。スペースへ向かってダッシュしたFW町野修斗に通ればロングカウンターのビッグチャンス。

 ボールがスライスしてタッチラインを割ってしまったため、彩艶は「ああいうシーンはつなげることが大事。つなげないと相手ボールになる。イメージはもう少し内側に投げたつもりだったのだけど、質が悪かった」と反省したが、メキシコをハッと驚かせたのは間違いなかった。

 試合後のミックスソーンで彩艶は「(失点)ゼロで終わったのは良かったので次につなげたい」とうれしそうだった。実は彩艶がアジア勢以外との対戦でゴールを守ったことがあるのは23年10月17日のチュニジア戦(○2-0)だけ。欧州でプレーするようになって3シーズン目にはなっているが、日本代表としてアジア勢以外にも無失点という結果にホッとした部分もあったのだろう。

本人が明かした「成長している部分」

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 メキシコ戦で安定感を見せる原動力となったのは所属するパルマでの成長だ。

 24年夏、1年間を過ごしたベルギーのシント=トロイデンからイタリアのパルマへ移籍。「カテナチオ」の文化があり、GK王国と呼ばれるイタリアでチームの正守護神としてゴールマウスを守り、経験を積みながら実力を磨いた。

 今回のアメリカ遠征中の取材対応で、イタリアで成長したと感じている部分はどこかと聞かれた時に彩艶が真っ先に挙げたのは「ボールが高い位置、自分から離れている時の準備が良くなった」ということだった。目に見えて分かりやすいシュートストップのアクションだけでなく、シュートを打たせないようにするための備え。「未然に防ぐというところでは良いシーンが増えてきたんじゃないかなと思います」と言う。

 もちろんそれだけではない。「背後に抜けてきた時に出る判断も非常に良くなってきましたし、逆にクロスに対して出ないという判断をするところも確実に良くなっていると思っています」と胸を張れるようになっている。

「最初に(イタリアに)行った当初はいろいろなことを言われました。批判的なことも言われましたけど、やっぱりピッチの上でパフォーマンスを発揮することが大事だったし、去年の1シーズンを通して良いプレーを出しながら自分の成長を感じて、周りの評価も変わってきたなという印象があります」

 彩艶の成長過程を知りたいと思い、筆者はアメリカ遠征を控えた8月下旬に、浦和レッズ時代の彩艶をよく知る“ある人物”を訪ねた。

《ドキュメント後編に続く》

#2に続く
「周作は彩艶をライバル視してたよね(笑)」GK鈴木彩艶の浦和レッズ時代恩師が証言…ひょろひょろだった少年を成長させた“日本代表2人の大先輩”

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