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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「批判的なことも言われたけど…」GK鈴木彩艶23歳がアメリカ現地で語った“イタリア移籍の本音”…あの“元日本代表監督”と何を話し込んだか?
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矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2025/09/12 11:04
メキシコ戦で先発し、安定したプレーで失点0に抑えたGK鈴木彩艶
4万人の観客がどよめいたセーブ
メキシコ戦の日本は、相手の4-3-3の布陣に対して3-4-2-1でハイプレスを掛ける戦法がかっちりとハマり、高い位置でボールを奪ってからの素早い攻撃が立ち上がりから随所に見られた。
ただし、メキシコも前半のラスト15分くらいからボランチを2枚にして日本のプレスをかわそうとするなど策を講じており、そのあたりはさすが試合巧者といったところ。球際での高い強度とスピード感のあるスライドの応酬はW杯本大会に近い緊張感を生み出し、見応えのある展開で試合が進んでいった。
そんな中で、日本代表にとってこの試合最大のピンチが訪れたのは0-0で迎えた後半の22分。メキシコは日本陣内の右エリアの好位置でファウルを貰って直接FKのチャンスを得ると、FWイルビング・ロサノが低く速いクロスをゴール前に蹴り込み、MFエリク・リラが鋭いヘディングで合わせた。
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ここでワールドクラスの素早い反応を見せたのが彩艶だった。思い切り体を伸ばして横っ飛びになり、両手で人のいない安全なスペースへシュートを弾いた。これを味方がクリアをしてピンチを逃れた。
4万5278人の観客のほとんどを占めるメキシコ人が大きくどよめいたこのシーンは、彩艶にとって判断から反応まですべてが思い通りのものだった。試合後、彩艶はこのように語った。
「まず、(前へ)出ず、ボールにアタックしない判断をして、シュートへの準備をしました。そこからボールを弾いた方向も良かったし、準備が良かったのでしっかり止まって、手の位置も良かったです。落ち着いた対応ができました」
試合後のミックスゾーン…彩艶の笑顔の理由
メキシコは優勝した7月のゴールドカップでは全10得点中7得点がCKやFKからのゴールというセットプレー巧者。キッカーのボールの質がすぐれているうえに、セットプレーを得るためのファウルを貰う位置が巧みだ。
彩艶はそれを止め、日本のピンチを救った。シビアな守備機会の回数は多くなかったが、ハイボールのクロスへの対応も安定しており、90分を通して危なげなかった。
攻撃でも存在感を見せた。ビルドアップ時は足元の技術もさることながら、深いところまで見えている視野の広さや判断スピードがすばらしかった。

