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「やっぱり、2人だから」高校生クイズで優勝した双子のその後…大学が分かれても「道が違った感じはなかった」東兄弟が明かす“それぞれへの思い”
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別府響Hibiki Beppu
photograph byNanae Suzuki
posted2025/09/09 11:03
2018年の『高校生クイズ』で優勝し、現在はQuizKnockに所属する東問と東言
弟・言が次に目指したのは「東大王」だった
「『高校生クイズ』を最大の目標にやってきて、それがなくなってしまって。じゃあ次に影響力があるクイズのイベントって何かと考えたら、『東大王』かなぁと。僕自身以上に周りもそういう感じで接してきて。『次は「東大王」、楽しみにしているよ』みたいな。受験じゃなくて、東大入った後を楽しみにしているというか。先生とか『それで良いのかよ!』と思いましたけど(笑)」
高校3年時の喧騒を、弟の言はそんな風に振り返る。
確かに当時は伊沢拓司や鈴木光ら人気メンバーの台頭もあり、TBS系で放送されていた同番組の人気がピークに達している頃でもあった。周囲がそれを地続きに考えるのも無理からぬことだったのかもしれない。また、高校生らしく次なる注目を浴びる舞台を求めていた双子にとっても、その場所は決して大きく外れたものではなかった。
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ただ、この頃の2人の認識には微妙なズレがある。
兄の問はこう振り返る。
「言ちゃんと『一緒に東大王に出たいね』みたいな話、したかなぁ。なんとなく成績もあって東大を受ける感じになっていて『東大でしかできないことって、「東大王」に出るくらいだよね』とは思いましたけど、あんまりそこにプライオリティはなかった気がします。むしろとにかく関東に行きたかったですね、クイズが格段にやりやすくなるので。その意味では鹿児島から三重に行ったのと同じモチベーションが大きかった気がします」
分かれた進学先…ふたりが明かした当時の本音
その思いの差が、果たしてどこまで影響したのは定かではない。だが、結果的に言は東大に合格し、問は不合格という形になった。
普通に考えれば、「明暗分かれた」という言い方をするのが的確なのかもしれない。
だが、問も言もそこに関してあまり大きな意味を見出さなかった。なぜなら、双子の価値基準があくまでも「クイズ」に置かれていたからだ。
問が言う。
「言ったように東大でしかできないことって『東大王』に出られるかどうかくらいしかない。別に他の競技クイズは普通にできるわけですし。だから浪人して東大……とかは全然、考えなかったですね」
浪人している間、クイズに参加できない時間がもったない。ならば、別にクイズ研究会が強いほかの大学でもいいだろう。そんな理由で、問は後期試験で東京都立大への入学を決めた。
言もこう語る。
「『東大王』って伊沢さんとかの数人の特殊例を除けば、ほとんどがもともとの競技経験者ではないわけです。でも、僕の場合は番組に出るからクイズをやるわけじゃない。クイズプレーヤーが、たまたま『東大王』として番組に出るチャンスがあったというだけで。問ちゃんも東大のクイ研にも入っていましたし、そこで道が違った感じは全然、なかったです」


