「あの頃は『自分は全然ダメだ』と思いこんでいた」最強世代に挑み続けた卓球天才少女・加藤美優“休養中”のいま「猛勉強で宅建の資格を取得」 

「加藤さん、ポジティブすぎ」!?

「いいプレーしてるから自信を持って」

「そんなに追い込まなくて大丈夫だよ！」

「天才！」

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　国際舞台で戦ってきたからこそ、パラ代表の選手たちも加藤の言葉には重みを感じていることだろう。

「選手たちには『加藤さん、ポジティブすぎる』とか『そんなふうに思えないですよ』と言われます。でも、そういった小さな声掛けから伝えて、少しずつでも変えていければと思っているんです。自分自身も、自分のプレーも嫌いになってほしくない。むしろ自分を褒めながらやってほしいですから。それができないと選手も続けられないので」

　就任から4カ月。ナショナルトレーニングセンターでの練習に加え、月に1回程度、海外遠征にも同行する。少しずつだが選手の成長にも手応えを掴んでいる。その変化を目の当たりにして、加藤自身もさらにやりがいを感じている。

「ロス五輪や世界選手権を目指している選手ばかりなので、向上心も強いですし、どん欲ですね。そういう環境で指導させてもらって、私自身もやりがいを感じています。私のアドバイス一言で一瞬プレーが変わることもありますが、だからこそアドバイスをしすぎたり、押し付けすぎないように注意して。選手たちにはひとつずつ着実に、強固な自信にしてほしいので」

©Keiji Ishikawa

第二の人生も、後のことは後で考える、くらいで

　一度コートから離れたことで、自分自身や周りの状況も見つめ直す時間や気持ちの余裕が生まれた。休養中の今だからこそ、アスリートのキャリアについてもより深く考えるようになった。

「休養前、もちろんセカンドキャリアのこともいろいろ考えていましたけど、後のことは後で考えるぐらいに思っていないと、ガチガチに決めてからじゃないと休めないという思考だと、精神的にきつい部分もあると思うんです。次にやりたいことを見つけるまで休んではいけないとか、辞めてはいけないなんてルールはないと思いますし、その方がいい意味で楽に生きられるはずなので」

　ありのままの自分で、肩の力を抜いて。加藤は自分らしい「道」を歩んでいく。