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「あの頃は『自分は全然ダメだ』と思いこんでいた」最強世代に挑み続けた卓球天才少女・加藤美優“休養中”のいま「猛勉強で宅建の資格を取得」
posted2025/09/06 11:00
現在競技を休養中の加藤。趣味や資格、パラ卓球代表コーチの仕事など、現状を語ってもらった
text by

石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Keiji Ishikawa
「海外に行くのが好きなんです。最近は韓国に行ってきました。タイも大好きでよく行くんですよ。近場ならパパっと出かけちゃいます。じっとしてるのが苦手なタイプなので(笑)」
コート上で見せる鋭い眼差しとは違い、屈託のない笑顔を浮かべる。コートから少し離れたことで心身ともにリフレッシュできている様子だ。
過酷な戦いで心身をすり減らして
世界各地で開催されている卓球のワールドツアー。とくにWTTのような国際大会は世界ランキングに大きく影響するため、選手たちは常に高いパフォーマンスを維持しなければならない。しかも毎週のように転戦するため、非常に過酷なスケジュールを強いられる。
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さらに秋からは国内リーグや大会も待ち構える。トップ選手であればあるほど、オフシーズンらしいオフシーズンはない。10代から世界の舞台で活躍してきた加藤美優も、勝敗のプレッシャーにさらされながら過密スケジュールをこなして心身をすり減らしてきた。
「体も心もすごく酷使していたと思います。試合は次々とやってくるし、ライバルには負けられない。そのうちにどんどん時間が過ぎていって……。なかなか自分自身とゆっくり向き合う時間もなかったですし、俯瞰して見ることも難しかったですね。本当に余裕がありませんでした」
競技休養でリフレッシュへ
6歳で卓球を始め、年代別の全日本選手権で黄金世代を阻んでホープス(小学6年生以下)を連覇するなど、早くから頭角を現した天才少女。1999年生まれの彼女はジュニア時代から将来を嘱望され、2017年、2019年には世界選手権に出場した。2019年の同大会では女子シングルスでベスト8入りするなど、“最強世代”と呼ばれる一学年下の伊藤美誠や平野美宇らとともに卓球界を牽引してきた黄金世代の一人だ。
しかしパリ五輪に向けた最終選考大会となっていた2024年1月の全日本選手権を前に、競技生活の休養を発表。心身をリフレッシュする時間を設ける、という決断に踏み切った。

