「あの頃は『自分は全然ダメだ』と思いこんでいた」最強世代に挑み続けた卓球天才少女・加藤美優“休養中”のいま「猛勉強で宅建の資格を取得」 

「これまで卓球しかしてこなかったので、最初はどれくらい勉強すればいいのか分からなかったですし、テストを受ける経験もなかったので戸惑いましたね。でも卓球に向かっているときと同様に、“やらなきゃいけない”と必死でした。

　性格的に、特に未知のものに対してはやりすぎてしまう傾向もあるので、普通じゃないくらい勉強していたかもしれません（笑）。しかも宅建の試験は年に1度しか実施されないので、不合格で次の年に持ち越したくなかったんです」

　本人は「正直あまり勉強は好きじゃないです」と冗談交じりに笑うが、宅建の資格取得を通して学ぶ楽しさも知った。

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「今までニュースを見ていてもあまり頭に入らなかったことに興味を持ったり、理解できることもこれまでより多くなったような気がします。宅建の勉強を通して、生きていく上で必要な知識や法について知ることができたのは、競技者のときにはなかった感覚なので、良い経験になりました」

パラ卓球のコーチとして伝えていること

自身の経験をパラ代表選手たちにも伝えているという　©Keiji Ishikawa

　さらに今年4月からは、パラ卓球ナショナルチームのコーチに就任。車いすと立位のクラスを担当し、現在はトップ選手として戦ってきた自らの経験を還元している。

　代表では選手たちと積極的なコミュニケーションを図りながら、自身が休養前にプレーしていて感じたことや気づきを惜しみなく伝えているようだ。

「たとえば練習メニューで休養直前に‶こっちの方が効率良かったな”と気づいたことがあったり、これをもっとやっておけばよかったな、ということもあって。そうした経験を活かしてアドバイスするようにしています。

　私の場合は、できないことに執着しすぎて自分を追い詰めるところがあるんです。でも試合のときに自己肯定感が低いと、相手と競ったときに些細な事で動揺し、それがプレーに直結してしまいます。卓球は特にメンタルが重要な競技なので、気持ちの面で手遅れにならないような思考法を選手たちに共有するようにしていますね」

　選手に「どこまで響いているかは分からない」というが、パラ代表選手たちには常にポジティブな言葉を掛けるよう心掛けている。

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