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「コウシエンは日本のU-18スーパートーナメント」ニッポン高校野球に憧れる“後進国”球児・関係者「いい意味でロボ」「酷暑のプレーは…」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byHideki Sugiyama

posted2025/09/01 17:00

「コウシエンは日本のU-18スーパートーナメント」ニッポン高校野球に憧れる“後進国”球児・関係者「いい意味でロボ」「酷暑のプレーは…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

1世紀超の歴史を持つ夏の甲子園と高校野球。この競技においては“後進国”であるイタリアの野球人からはどう見えるか

 国内きっての野球どころであるボローニャやパルマの近郊では、例年7月下旬から8月上旬にかけ、親睦と普及を主眼とした民間の育成年代トーナメント大会がいくつか開催されている。

 中には40年近い歴史を持ち、チェコやオランダ、ポーランドなど国内外50チームが参加する大掛かりな大会もある。

 どのイベントも主眼はイニングを重ねながら、野球の楽しさを再認識すること。U-18年代部門の試合は最大7イニングもしくは最長2時間、投手の投球数も1日最大85球に制限され、勝敗は二の次だ。

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 大会期間中には所属チームや国の垣根を超え、同年代とピッツァを食べながら交流するイベントも盛んに行われる。いかにも牧歌的だが「この夏の民間大会がイタリアにおける普及と存続のために果たす役割は大きい」と、ナティッリ部長は強調した。

コウシエン? 日本のスーパートーナメントですよね

 取材した8月初旬の午後、ボローニャの気温は35度を記録していた。甲子園球場で1回戦が白熱していた時期だ。

 欧州野球の育成現場には日本の高校野球はどう映るのだろう。

「コウシエン? ああ、聞いたことありますよ。日本のU-18年代によるスーパートーナメントですよね」

 セリエA時代は強肩のキャッチャーで鳴らしたというナティッリ氏に日本の高校生選手の印象を尋ねると、このように惜しみのない賛辞が返ってきた。

「規律の取れた正確なプレー。いい意味でロボットのように精密に動きをトレースできて、フィジカルに勝るアメリカを技術で凌駕できる生きたお手本」

 国内きっての強豪ボローニャのU-18チームの練習頻度は週に3回、平均2時間程度だ。

 イタリアの学校教育には基本的に高校年代まで球技の「部活動」がない。スポーツの部活動は学校生活の中に存在しない概念だ。

 野球をやりたい学生はサッカーや他のスポーツ同様、民間のクラブに入団登録し、平日に練習をしながら週末に年間リーグ戦やカップ戦に参加する。

1世紀超の歴史、4万人観客…イタリア人には想像できない

 今夏の第107回全国高等学校野球選手権大会の予選参加校は日本全国で3396校あった。今年度のイタリアU-18リーグに出場したチーム数は国中合わせて70のみだ。

【次ページ】 “母は日本人”イタリア球児に聞く高校野球評

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