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「やっぱり3人にしかわからないことがある」伊藤美誠が明かす平野美宇・早田ひなとの絆と〈みまひな〉復活秘話「水谷隼選手より、ひながいい(笑)」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2025/08/27 11:02
7月のUSスマッシュで久々に〈みまひな〉ペアが復活した。共闘の理由、そして平野美宇との絆まで伊藤が語り尽くす
みまひなペアの復活
平野が新しいスタートを切った一方、伊藤もダブルスで新たなスタートを切った。
2017年、初めてペアを組み、アジア選手権、世界選手権ドイツ大会のダブルスで銅メダルを獲得。それ以降、伊藤と早田の「みまひな」は全日本選手権のダブルスで5連覇を達成するなど、歴史を築いてきた最強ペアだった。
それが7月のUSスマッシュで2年ぶりに復活した。
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「私が早田選手とやりたい、というところから話が始まったんです」
なぜ、伊藤は早田と組むことにこだわったのだろうか。
「ダブルスは、ペアと個人での世界ランキングが出るんですけど、わりと海外の選手と組むことでランキングを上げていることが多いんです。それも確かにひとつの手なんですけど、私は意思疎通やコミュニケーションなどで海外の選手と組むのは難しいかなって思うので、そこは考えていなくて。新しい挑戦として、やるなら早田選手と組みたいと思っていたので、ダブルスを再スタートする際に協会に伝えました」
伊藤が声を掛け、早田が「いいよ」とペア復活が実現したが、いざ大会に出ようとしても、簡単ではなかった。ふたりが組むのは2年ぶりなので、ペアとしての世界ランキングのポイントがない。ランキングのポイントは1年で失効するからだ。
ポイントがない場合、カテゴリーが下の大会から出場してポイントを加算していく必要がある。だが、それを飛び越えて出場するには、協会推薦を得るしかない。USスマッシュの出場枠は、1組のみ。そのため、他のペアが出場しないことを確認し、協会推薦でWTTに打診。WTTが出場を認めることで、伊藤&早田ペアの参戦が可能になった。
感覚はすぐに戻ってきた
「出場が実現して、一緒に練習したのは3日間ぐらいでした。でも、不思議と感覚的なものはすぐに戻ってきました。離れて、少し時間が空いた分、逆にリラックスできたところもあります。動きは、お互いにシングルスの時と違うこともあるし、位置取りも考えないといけない。練習では、シングルスではこういう動きだからというのを確認して、『その方がいいんじゃない』って答え合わせしながらやっていました」
USスマッシュでは、初戦から息の合った安定感のある戦いを見せ、勝ち上がった。準々決勝で中国の王芸迪と蒯曼のペアに2-3と惜敗したが、新しい「みまひな」の今後に期待が膨らむ試合を見せてくれた。


