「俺に勝てないならUFCにいるべきじゃない」UFC11位の38歳に“まさかの一本負け”…朝倉海の連敗は必然なのか？「今の時点では無理」対戦した王者の予言 

「今の時点では無理」王者パントージャの“ある予言”

　その予告通り、我々はエリオットのタフさを思い知らされることになる。勝負の潮目が変わったのは1ラウンド終了間際、朝倉の左ハイを受けながらエリオットが初めてテイクダウンを奪い、サイドポジションから肩固めの体勢に入った場面だろう。

　ラウンド自体は中盤まで打撃で攻勢を仕掛けていた朝倉のものだったが、エリオットはここで自らの勝利を確信したと語る。

「朝倉はヘッドキックで俺を捕えたが、蹴り足を残した。だからテイクダウンを決めることができた。このテイクダウン後、彼は背中を下にして落ち着いた。おかげで俺は本当に自信がついたんだよ」

エリオットは1ラウンド終盤の肩固め（写真）で自信を深めたという　©Getty Images

ADVERTISEMENT

　その見込み通り、2ラウンドになると立場は完全に逆転する。1ラウンドとは打って変わって朝倉が下がる攻防が目立って多くなってきたのだ。プレッシャーを強めたエリオットは再びテイクダウンからマウントポジションをとることに成功。最後はギロチンチョークでとどめを刺した。1ラウンド、サイドに固めた時点で、グラップリングを得意とする米国人は朝倉のグラウンドの技量を見抜いていた。

「柔術的な立ち上がりやサブミッションを仕掛けてくる相手には苦労するけど、朝倉はそうしてこなかったから、自信に繋がったよ」

朝倉海にチョークを極めるエリオット　©Getty Images

　テイクダウンを奪われたら、ほとんど何も抵抗できぬまま極められてしまった。フィニッシュに関していえば、そういった感想を抱いた人が多いだろう。パントージャが朝倉を下したあと、アメリカの記者がホストを務めるYouTubeに出演し、朝倉が再びUFCのタイトル戦線に絡む可能性があるかと聞かれたときの発言を思い出した。

「彼は素晴らしいファイターだけど、今の時点では無理だと思う。自分がどうやったら朝倉を倒せるかを見せてしまったからね」

　ちなみにパントージャは勝負のキーポイントとしてジョン・ジョーンズキック（UFC史上8人目の2階級制覇王者ジョーンズへの尊敬の念を込め、関節蹴りをそう呼んでいた）を挙げていた。エリオットはその対策を受け継いだのか、1ラウンド序盤には朝倉の機先を制するかのようにジョーンズキックを使っていた。

【次ページ】　「俺に勝てないならUFCにいるべきじゃない」