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「俺に勝てないならUFCにいるべきじゃない」UFC11位の38歳に“まさかの一本負け”…朝倉海の連敗は必然なのか?「今の時点では無理」対戦した王者の予言
posted2025/08/26 17:07
38歳のティム・エリオットに一本負けを喫した朝倉海(31歳)。UFC2連敗と、早くも窮地に追い込まれている
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布施鋼治Koji Fuse
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Getty Images
全米デビュー前の熱狂は何だったのか。
現地時間8月16日に米イリノイ州シカゴで開催された『UFC 319』での朝倉海の一本負けが波紋を呼んでいる。昨年12月7日に組まれたオクタゴンでのデビュー戦は王者アレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)にいきなり挑戦するという異例の大抜擢を受けたが、2ラウンドにリアネイキドチョークで一本負け。8カ月というインターバルを空けて臨んだ今回のUFC2戦目は、再起戦という意味合いが強かった。
オッズは「朝倉有利」、序盤は打撃で上回るも…
対戦相手はフライ級11位(当時)のティム・エリオット(米国)。一度はフライ級王座挑戦まで登り詰めた存在ながら、今回は前戦から1年8カ月ものブランクがあった“38歳の大ベテラン”という立ち位置だっただけに、朝倉のアンダードッグ的な見方をされていたことは否定できない。
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案の定、8月中旬の時点で海外ブックメーカーのオッズは朝倉が1.33倍なのに対し、エリオットは3.50倍と「朝倉有利」とする見方が大勢を占めていた。お膳立ては整っていた。
そんな世間の予想に後押しされるかのように、1ラウンド、朝倉は得意とするスタンドの打撃でエリオットを追い込む。エリオットが蹴りを放とうとすると、ワンツー、あるいはボディからのフックと連打を浴びせる。
タイミング、スピード、破壊力、正確性。すべてにおいて朝倉が上回っていた。スイッチを繰り返しながら、飛び蹴りなどで反撃を試みるエリオットだったが、劣勢は否めない。パンチとともに、蹴りも被弾していたエリオットはのちにこう語っている。
「レッグ(ロー)キックをこんなに効かされることなんて、自分のキャリアの中でも2、3回しかない。俺がスイッチするせいだけど、カーフキックも今までほとんどもらったことはなかった。セコンドから『足元を安定させておくように』と言われていたけど、実際カーフをもらったらメチャクチャ痛かった」
朝倉のUFC初勝利は時間の問題のように思われた。しかし、試合前エリオットはこんな予言をしていた。
「朝倉にとって今回の問題はパントージャと戦った次に俺と戦わなければならないということだ。立て続けにタフな相手と戦うことになる。朝倉がそこから再起できないとは言わないけど、連敗は大きな痛手になるだろうね」

