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「やはりアーセナルの2人はいいCBだと」冨安健洋が名門退団前、元同僚を称賛+恩師に感謝していた「正しいと思って勉強を」話はそこで終わらず… 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byStuart MacFarlane/Getty Images

posted2025/09/04 17:02

「やはりアーセナルの2人はいいCBだと」冨安健洋が名門退団前、元同僚を称賛+恩師に感謝していた「正しいと思って勉強を」話はそこで終わらず…<Number Web> photograph by Stuart MacFarlane/Getty Images

アーセナル時代の冨安健洋は、智将のミケル・アルテタ監督から薫陶を受けた

 酒井はヨーロッパ(ドイツ)にいたときには、右利きながら左サイドバックを務めることが多かった。じつは当時、彼もクロスボールを蹴る際に、左足で蹴ったほうが質の高くなると感じていることを明かしていた。その理由は、利き足ではない方のクロスを「死ぬほど練習したから」だという。

 酒井と同様に、冨安の左足の精度の高さは、彼が努力の天才であることを示しているのかもしれない。

 それでも冨安の視点はフラットである。自分の考え方が「絶対に正しい」と言うつもりはない。彼はこう付け加えるのを忘れなかったからだ。

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「左センターバックや左サイドバックでも右利きの選手はいますし、ファン・ダイク(リバプールで左CB)などは右利きで、特別に多く左足を使っている印象はないですよね。そこには多分『違い』があるだけで、(常に)左足を使った方がいいとは思わないです」

 では、右利きの冨安が左足を重要視しているのは何故なのだろうか。

 これは推測だが――冨安はDFに求められる、あらゆる能力を挙げようと努力しているのかもしれない。実際、彼は攻守の色々な局面において安定して高い能力を発揮できる。前述したとおりセンターバック、サイドバックどちらでも起用される要因の一つであろうし、ボローニャ時代のようにセンターバックとサイドバックに可変するようなシステムを担えたのだろう。

アーセナルの2人のCBはいい選手と語ったワケ

 このテーマで興味深かったのは、司会者からの質問に対する答えだった。

「現代サッカーにおける能力の高いセンターバックを挙げてほしい」

 冨安はこう返した。

「やはり、アーセナルの2人のセンターバックは良い選手だなと思います」

 2人のセンターバックとは、ウィリアン・サリバとガブリエウ・マガリャインスである。どちらも世界最高峰であることに異論はないだろう。ただ、サッカーファンの一般的な評価、さらにTransfermarktでの市場価値を見ても、サリバの能力の方が高いと見られがちだ。その前提を踏まえたうえで、世界中のファンが理解しきれていないガブリエウの能力の高さについて、冨安はこう説明した。

「ガブリエウがボールを持った時の時間の使い方など……。彼がいるといないでは、チームのビルドアップが完全に変わってしまうくらい。個人的には、ガブリエウの方が好きです」

 ガブリエルは左センターバックを任されることが多い。そんなブラジル代表センターバックを見て、冨安は多くのものを学んだということだろう。

アルテタの教え「正しいと勉強させてもらいました」

 ひょんなことから冨安の口からアーセナル時代の同僚の話が出たわけだが――実はこのイベントは、アーセナルとの契約解除が発表される前に行なわれたものだった。

【次ページ】 この話はそこで終わりではなかった

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