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「1600万円の赤字」からウナギ・サヤカが再出発…まさかのドーム屋外興行で見えた“らしさ”「(これまでは)ちょっと無理してた」「見たか朝倉未来!」
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/08/09 17:20
「東京ドームシティ アトラクションズ バイキングゾーン芝生広場」で自主興行を開催したウナギ・サヤカ
「東京ドームに電話して、会長にOKもらいました」
余計な力みが抜けたと言えばいいのか。「査定してやるよ!」が決め台詞のウナギだが、東京ドームシティ大会を終えると「みなさん、いつでも査定しにきてくださいね」とコメントしている。これまでのような挑発三昧、強気一辺倒ではないウナギ・サヤカがそこにいた。
会場の芝生広場は、RIZIN東京ドーム大会の記者会見が行われた場所だ。その光景を見たウナギは「ここで試合がしたい!」と「速攻で(株式会社)東京ドームに電話して、会長にOKもらいました」。同じ東京ドーム管轄内の後楽園ホールでの自主興行以来、会場側もウナギをバックアップ。そうでなければプリズムホールの「二重借り」も不可能だっただろう。またウナギは東京ドームシティでスタッフ登録してアルバイトも。そうやって現場になじみ、顔を売ろうというわけだ。芝生広場での興行にも「まずは物理的にドームに近づく」という狙いがあったらしい。
昼興行は『ウナギの夏休み』と題しての6人同時対戦。ウナギ、シン・広田さくら、まなせゆうな、花園桃花、網倉理奈、神姫楽ミサという、言ってみれば気心の知れたメンバーだ。
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「夏休み」らしく観客も一緒になってのラジオ体操から始まって、場外戦ではビニールプールの水をぶちまけたりした。涼をとるはずが暑さのせいでお湯になっていたが。
選手も観客もヘトヘトになった昼の部(13:30開始)から、夜の部は18:30。日が暮れてきて野外でも過ごしやすくなった。こちらは全4試合。アジャコングの登場にはひときわ大きな歓声が上がる。この興行、指定席チケットは有料で販売したが、柵の外は無料観覧エリアとなっていた。ライト層、あるいは遊園地や野球観戦帰りの“通りがかり層”に見てほしいという思いからだった。
メインイベントに“まさかの特別ルール”
メインイベントはウナギと“プロレス王”鈴木みのるのシングルマッチ。お祭り的ムードの野外興行にあって、相当にシビアなマッチメイクだ。その理由を「(プロレスを初めて見る人たちにも)本物のプロレスを見てほしかったから」だとウナギ。
殴られ蹴られ関節を絞り上げられ、イス攻撃も喰らった。ここでまったく容赦しないのが、鈴木みのるが超一流と言われる所以だろう。確かにそれは“本物のプロレス”だった。ただ、ウナギ流のプロレスは強さや迫力だけではない。


