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甲子園の風BACK NUMBER
「あの郭泰源と対戦して台湾の新聞1面に」名門・柳川高の甲子園復活に懸けるOB監督「修学旅行で宇宙旅行と甲子園、どちらが先か勝負(笑)」
text by

内田勝治Katsuharu Uchida
photograph byKatsuharu Uchida
posted2025/08/08 11:03
九州の古豪・柳川高を率いるOBの御所監督。その高校時代にはそうそうたる選手たちとの出会いがあった
「修学旅行で宇宙旅行と甲子園、どちらが先か勝負(笑)」
「柳川に戻ってきてミーティングをした時です。小学生で野球を始めた時にプロ野球選手になろうと思った人はと尋ねると、全員が手を挙げるんです。それが、中学生の時は半分に減って、今思っている人は1人しかおりませんでした。それじゃあ甲子園には行けないし、夢は貫き通さないといけないんですよ。ウチの校長・理事長(古賀賢さん)は面白い人で、2030年の修学旅行で宇宙旅行の夢をぶち上げていますが、それと甲子園出場、どちらが先か勝負しています(笑)」
野球部が練習するグラウンドのスコアボード上部には「啐啄同時」という四字熟語が刻まれている。雛が卵から孵化する際に、内側から殻をつつく「啐」と、親鳥が外側から殻をつつく「啄」が、絶妙なタイミングで行われることを指す。
「子供は宝物、ダイヤの原石です。卒業するまでにピカピカに磨かないと、石ころになって蹴飛ばされます。私はヒントを与えるだけで、あとは自分で磨いていくしかありません。そうやって人間を磨いたその先に、甲子園はあると思っています」
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御所さんの思いと、ナインの呼吸がピッタリと合致した時、柳川は殻を破り、名門復活の咆哮を上げる。オールドファンもその時を静かに待ち望んでいる。
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