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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「“このまま引退”はない」寺地拳四朗33歳を倒した“苦労人”サンドバルとは何者?「すぐに簡単な試合にならないと感じた」英国人記者も嘆いた予想外の結末
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byNaoki Kitagawa
posted2025/08/02 11:07
試合後、言葉少なに会場を後にした寺地拳四朗(33歳)。顔が腫れ上がっていた
拳四朗との戦いでのサンドバルのボクシングには日本のファンも感心させられたのではないか。ジャブでリズムを作り、コンビネーションにつなげる正統派ボクサー。バランスの良さが目立ち、フットワークにも優れたものがあった。
開始ゴング直後、最初の2〜3ラウンドのサンドバルのシャープな動きを見て私はすぐに拳四朗にとっても簡単な試合にはならないと感じた。多くのラウンドが拮抗し、パウンド・フォー・パウンドのトップ10に入る実力者である王者がなかなかはっきりとした形でラウンドを奪えなかった。サンドバルは5ラウンドに拳四朗の完璧な右を浴びてダウンを喫するわけだが、その直前も直後も堂々と渡り合っていた。
振り返ってみれば、やはりこの5回が分岐点だったのだろう。サンドバルは精神的に準備ができており、初の世界タイトル戦、本格的なアウェー戦でも冷静だった。その姿勢はあれほど強烈なダウンを喫して以降も変わらなかった。それはもちろん簡単なことではなく、サンドバルがワールドクラスのプロである何よりの証に思えた。
ようやく辿り着いた世界戦の舞台
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サンドバルは2022年7月、同じメキシコ系のスター選手であるライアン・ガルシア(アメリカ)がメインを務めた興行のアンダーカードでWBA世界フライ級挑戦者決定戦を行い、デビッド・ヒメネス(コスタリカ)に僅差の判定負けを喫した。2-1という判定結果が示す通り、そこでの敗北時も底を見せたわけではない。その試合以降、WBCシルバー王者を獲得するなど6連勝。しっかりとした実績を積み上げて世界戦のチャンスを掴んだ苦労人であり、本物の実力を備えていることは明らかだった。

