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「私は拳四朗の大ファンだが」英国人記者もショックの敗戦…ボクシング寺地拳四朗“まさかの王者陥落”はなぜ起きた?「最大の弱点が致命傷になった」 

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2025/08/02 11:06

「私は拳四朗の大ファンだが」英国人記者もショックの敗戦…ボクシング寺地拳四朗“まさかの王者陥落”はなぜ起きた?「最大の弱点が致命傷になった」<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

まさかの王者陥落となった寺地拳四朗(33歳)

 もともと拳四朗は私のお気に入りのボクサーの一人だ。彼の“武器の豊富さ”が私の好みであり、非常に攻撃的で、見ていても本当にエキサイティングな選手だと思う。軽量級のトップボクサーは手数が多く、それでいてテクニックの基盤があるが、拳四朗もまたそういった選手だった。

 これまでのキャリアを振り返っても、2022年11月の京口紘人戦で7回KO勝利を飾った際の強さは本当に見事だった。事前は50/50に近いと見られていた同国人同士のビッグファイトで、完全に主導権を握って試合を支配する姿は美しかった。また、一度は敗れた後とあって絶対に負けられないプレッシャーを背負い、3回KOでリベンジを果たした2022年3月の矢吹戦の勝ち方も圧巻としか言いようがなかった。

 それほどの強さを持った拳四朗が今回、サンドバルの前に屈した理由は大きく分けて3つあったように思う。

まさかの王座陥落…3つの要因

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 まずはシンプルに、サンドバルの戦いぶりが素晴らしかったこと。サンドバルはリングマガジンの階級ランキングでもフライ級で5位にランクされるほどの実力があるボクサーだが、“階級最強”と認められてきた拳四朗を相手に勝機があるとは目されていなかった。試合前の時点で、ラスベガスのブックメーカーでは10対1という大差のアンダードッグだったと記憶している。

 それほど絶対不利の予想が出ていながら、サンドバルのモチベーションは最高潮だった。世界タイトル初挑戦で、しかも相手はパウンド・フォー・パウンド・ランキングに入るほどの強豪王者。キャリア最大のステージで、挑戦者が人生最高のボクシングをしたことは間違いないのだろう。

【次ページ】 井上尚弥でも手を焼く“格下”との対戦

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