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「本当に“疑惑の判定”か?」朝倉未来の勝利を検証…「勝ちを盗まれた」敗者クレベル激怒も「判定に違和感なし」見解が割れた“あるポイント”
posted2025/07/30 17:03
朝倉未来は「2-1」のスプリット判定を制してクレベル・コイケへのリベンジに成功。クレベルが語ったように、判定に“疑いの余地”はあったのか
text by

布施鋼治Koji Fuse
photograph by
RIZIN FF Susumu Nagao
本当に疑惑の判定だったのか。
7月27日にさいたまスーパーアリーナで行われた『超RIZIN.4』のメインイベント、朝倉未来vs.クレベル・コイケの判定が物議を醸している。
公式記録としては2-1のスプリット判定で、朝倉が宿敵を振り切り、4年前の失神一本負けの屈辱を晴らした。この日、客席を埋めつくした43,965名(主催者発表)の観客の中で最大勢力を占めていた朝倉のファンは溜飲を下げたことだろう。
「勝ちを盗まれた」激怒したクレベル
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試合後、インタビュースペースに現れた朝倉は安堵の表情を浮かべた。
「格闘家は1試合で大きく人生が変わると思っていて。クレベルも僕もこの試合にすごく懸けてきたと思うので、とにかく勝ててよかった」
しかし、朝倉のリベンジ達成で真夏の大一番は一件落着というわけではなかった。朝倉のあとに記者団の前に現れたクレベルは「勝ちを盗まれた」と不満をぶちまけた。
「私は信じない。彼は勝ってない。絶対勝ってない」
試合中のクレベルは冷静沈着な試合運びを見せるが、この日の試合後に限っていえば、感情むき出しで判定に噛みついた。
「今回の判定は試合ではなく、ファンの声援とか、そういった他のものが要因になっている」
3度目の対決が実現したらどんな作戦を立てて臨むのかという質問を受けると、クレベルは「殺す」と物騒な言葉を口にした。
「そうじゃないと、自分が勝ったと認められないようですから。今日の勝利というのは絶対に認めません。認められません」
ジャッジの見解が割れたポイントとは?
JMOC(一般社団法人日本MMA審判機構)から派遣されたレフェリーやジャッジによって裁かれるRIZINの判定基準はダメージを50%、アグレッシブネスを30%、ジェネラルシップを20%と優先順位をつけ、それをトータルマストで採点するというジャッジを採用している。
ダメージとアグレッシブはイーブンにつけても構わないが、残るジェネラルシップだけは必ず優劣をつけなければいけない。この日の3人のジャッジはダメージとアグレッシブネスでは全員イーブンだったが、ジェネラルシップだけ2人が20-0で朝倉、1人が0-20でクレベルと見解が割れた。ジェネラルシップとは「試合のペース、場所、ポジションなどの支配についてどちらが優れていたか」を指す。
確かに朝倉はグラウンドでもたびたびトップポジションを取り、打撃をヒットさせていた。白眉は2ラウンド、朝倉が強烈なヒジ打ちをクレベルの顔面に見舞った場面だろう。あのときの会場の盛り上がりといったらなかった。


