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「このチームには何を起こすかわからないワクワク感がある」頼れる兄貴分・DeNA京田陽太31歳の阪神追撃への献身「追われる方も不気味なはず」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/28 11:02
苦しい状況ながら阪神の背中を追うなかで、チームを救う働きをたびたび見せた7月の京田
「大和さんと一緒にプレーさせて頂いて勉強になることが多かったですし、何と言っても皆から愛されていましたよね。誰とも分け隔てなく接することができて、誰もが嬉しそうに『大和さん、大和さん』って近寄っていくところを見ていますしね。だからふと思う瞬間があるんです。これから僕が目指すゴールじゃないけれど、上からも下からも慕われる存在になりたいなって」
柔らかな表情を見せると、「がんばります」と京田は言った。
大切な番号への思い
背番号9への変更は球団からの打診だったというが、一方でDeNAに来てから昨季まで付けていた背番号98も京田にとって大切な番号だ。そこには中日時代、公私とも深い親交があり仲のよかった、2021年に逝去した木下雄介氏への想いが込められている。
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「球団からそういった話を頂いて光栄でしたが、ただ思い入れのある番号でしたので木下さんのご家族にも相談させて頂いて『球団からそういう話があるなら、ぜひ』と、おっしゃってもらいました」
背番号は変わったが、京田のグラブには『98』が刻まれている。
また同時に国内FA権を行使せず、DeNAと複数年契約を結んだ。これまでの恩と縁を敬いながら、京田は横浜に骨をうずめる覚悟で、前を向き日々精進している。
年齢とのつきあい方
大型内野手として中日時代から名を馳せた京田だが、30歳を過ぎ自身のコンディションに変化を感じているという。誰もが通る道ではあるが、そのことについて京田は隠すことなく正直に言った。
「年々、(疲労が)来るのが早くなってきていますね。怖いというのか、怪我をしたわけじゃないけど動きが悪いなって不安になることがあるんです。だから準備に関しては以前よりも時間を使っていますし、少しでも汗をかいておきたいと思いながら体を動かしています」
怖い、という言葉。まだ老け込む年ではないが、自分のコンディションを冷静に把握しているゆえのことだろう。守備範囲や肩が少しずつ落ちているのも理解している。
「やっぱり一緒に(森)敬斗とかとノックを受けていると感じますよね。敬斗すげえなって」
それをカバーするのは言うまでもなく蓄積された経験値である。


