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「このチームには何を起こすかわからないワクワク感がある」頼れる兄貴分・DeNA京田陽太31歳の阪神追撃への献身「追われる方も不気味なはず」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2025/07/28 11:02
苦しい状況ながら阪神の背中を追うなかで、チームを救う働きをたびたび見せた7月の京田
ここまで代打では12打数と決して多くはないが、打率.333、得点圏打率.500と勝負強さを見せている。この数字について問うと、京田は少しだけかぶりを振って言うのだ。
「何だろう。まだ(代打の)経験が浅い分、怖さを知らないというか、とにかく振っていこうって意識ばかりなんです。代打を送られた選手の思いもありますし、そこで見逃し三振してしまったら、なにをしに行ったんだってなってしまう。無様な姿をさらすぐらいなら、とにかく振る。本当、この役割を長年やっていたり、一打席で結果を出す人ってすごいなって改めて思っていますね」
先代「背番号9」を追って
脳裏に思い浮かべるのは、昨年までチームメイトだった“得点圏の鬼”こと大和のことだ。
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「大和さんは、試合中ずっと後ろ(バックヤード)でバットを振っていましたね。装備も着けていつでも行けるようにずっと振っている。そういう準備が大事なんだと改めて思っています」
京田と大和。ともに他球団からDeNAに移籍してきており、ポジションも一緒。そして昨季かぎりでチームを離れた大和に代わって、背番号9を背負う。一歩引いた場所からチームを俯瞰し、時にサポートにまわり、また必要に迫られればどんな状況であっても惜しみなく力を発揮する。両者の共通点は多い。
度会隆輝や林琢真など、伸び盛りの若手選手たちが上手くいかない状況にあると、いち早く京田がベンチで声掛けをしているシーンをよく見かける。京田は、当たり前のことのように言うのだ。
「僕も先輩たちからそうやってもらってきたので、自然と今言っておいた方がいいなってタイミングを察したりしますね。もちろん出過ぎてもいけないので、そこはバランスを考えて」
目配り、気配り、心配りのできる兄貴分。京田を信頼している声は、チーム内に非常に多い。誰からも敬愛された先代の背番号9の背中を追いながら京田は日々を過ごしている。

