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田嶋大樹「1人が好き…人と関わると自分が傷つく」孤高の左腕を変えた「結婚の幸せ」とオリックスの“父親ローテ”秘話「それはもう妻のおかげです」
posted2025/07/26 11:03
サヨナラホームランを放った中川に抱きついて祝福する田嶋
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
SANKEI SHIMBUN
「今日はケイタの日なので」
「いや、タジの日だと思います」
7月16日の楽天戦後のお立ち台。自己最多の134球を投じ、今季2度目の完封勝利を挙げたオリックスの田嶋大樹と、人生初のサヨナラ本塁打を放った中川圭太。同学年の2人が照れながら互いを称え合う、和やかなヒーローインタビューだった。
「それはもう妻のおかげです」
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この日に限らず、今年はどことなく田嶋の表情が柔らかい。
試合中もチームメイトと言葉を交わしながらふっと頬を緩めることが増えた。
「最近、表情が柔らかいですね」と声をかけると、「それはもう妻のおかげです」。
そんな返しもかつての田嶋なら想像できなかった。
以前は“孤独”をあえて選んでいるように見えた。JR東日本から2018年にドラフト1位で入団した田嶋は、新人の頃から「人とつるむのはあまり好きじゃない」というスタンスで、練習中も1人で行動することが多かった。
気を許せる地元の友人に支えられているという話はよく聞いたが、チームメイトと食事に行ったというような話は皆無だった。
「一から勉強した」コミュニケーション
だが徐々に変化が。2020年のオフに阪神から加入した能見篤史投手兼任コーチ(22年に引退)とは打ち解け、練習中もよく話をしていた。同学年の中川とは、中学時代の日本代表でチームメイトだったこともあって一緒に食事に行くようになり、次第に複数人での食事会にも参加するようになった。

