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卓球PRESSBACK NUMBER
「美誠ちゃんの大変さが分かった気がします」涙の世界卓球直後、平野美宇が伊藤美誠から貰った“ある言葉”…60分インタビューで語った「本当の気持ち」
text by

高樹ミナMina Takagi
photograph byAsami Enomoto
posted2025/07/25 11:01
女子卓球・平野美宇のインタビュー(第2回)
――どう繋がるんですか?
平野 普段の考え方って、どうしても試合に影響するので、気持ちが充実していれば試合も充実するし、プレースタイルも普段から挑戦している人だったら、試合で「1本、挑戦してみよう」という気持ちにもなるだろうし。私のように我慢するタイプだったら我慢するプレースタイルになりがちです。性格と卓球は結構繋がってるんですよ。だから自分の心にもっと耳を傾けて、やりたいことを決めたり、やりたくないことはやりたくないって素直に言うことが大事だなと思います。
――トップアスリートが「楽しい」と思える時って、どんな状態なんでしょう?
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平野 もちろん、試合に勝っている時(笑)。今回の超級リーグも試合でボロボロに負けていたら「楽しい」なんて言えなかったと思います。ただ、これからは「楽しい」だけじゃなく「面白い」って思えるようになりたいですね。人は何かに興味を持つと脳がどんどんポジティブになって、成長も早くなるじゃないですか。だから今回の中国でも「この選手、どうやって打ってるんだろう?」って、自分から興味を持つようにしました。中国選手は練習の時から簡単なミスをしません。大まかに言うと集中力の差かな。私もいつもより高い意識で練習するようにしたら、最終日にはミスが減ってプレーが良くなりました。あと、孫穎莎選手がチームメートにアドバイスするのを聞いて、「世界チャンピオンはこういうふうに考えているんだな」って、すごく勉強になりました。本当にコーチみたいで、試合を見て一瞬で要点を整理する力も、それを選手に伝える力もすごいなと驚きました。
SNSで発信した“ある中国語”の意味
――どんな環境に身を置くかはとても大事ですね。
平野 そうなんです。環境は本当に大事です。会場の雰囲気もすごかったです。毎日、約1万8000人のお客さんが入って会場は超満員で観客席が上の階まで埋まっていました。あと、深圳大学はSNSにも力を入れているチームで、担当スタッフ4、5人が常に動画を撮ってTikTokや小紅書など中国で流行っているSNSに頻繁に投稿しています。中国の卓球ファンは若い層が多いので、SNS戦略に力をすごく入れてるんですよね。そういう部分も勉強になりました。
――そういえば美宇さん、SNSで「毎日楽しい」って中国語で言ってましたね。
平野 「毎天開心」ですね(笑)。張さん(張成コーチ)に教わりました。
――プレー面で変えたいところはありますか?
平野 今はプレーがちょっとバラバラなので、まずは自分の得意な部分を再確認してプレーをまとめられるようにしたいです。そうすればプレーが安定して、そこからまた成長できると思っています。土台がしっかりしていないと、その先に進めません。
――改めて美宇さんの得意なプレーを教えて下さい。
平野 やはりバックハンドですね。サーブやレシーブなどの細かい技術にも自信があるんですけど、自分の性格上、全てに完璧を求め過ぎてしまって。全部を100%に出来ないと分かっていても、例えばサーブだったら回転もスピードも全部欲しくなっちゃうんです。でもそうすると全ての要素が結局50%に寄っていって決め手がなくなってしまう。そうじゃなくて「回転はすごくあるけどスピードを抑えたサーブ」とか「回転は普通だけどスピードがあるサーブ」とか、もっと相手を崩す思考と技術を身に付けたいです。


