ウルフアロン29歳の“新日本プロレス入団”で検証「柔道出身でもっとも成功したプロレスラー」は誰なのか？「最強柔道家の悲劇…まさかの“事件”も」 

柔道出身で“もっとも成功したプロレスラー”とは？

　木村以後にプロレス入りした柔道家の代表格は、1965年の全日本柔道選手権を制して日本プロレスに入団した坂口征二だろう。身長196cm、体重120kgという均整のとれた体躯は日本人離れしており、ヘビー級のアメリカ人レスラーと並んでも全く遜色はなかった。

　高身長を活かしたアトミック・ドロップ（原爆落とし）、左右の観客に大見得を切ってから相手をグイッと持ち上げるネック・ハンギング・ツリーには坂口ならではの豪快さがあった。柔道出身のプロレスラーとして一番の成功者はこの坂口と断言できる。

　柔道出身のプロレスラーといえば、坂口を基準に考えられる傾向がある。新日本プロレスでは武藤敬司や橋本真也も柔道にバックボーンを持つが、その実績を坂口と比較してしまうとどうしても霞んでしまう。惜しむらくはプロレス入りする際、母校である明治大と日本プロレスの間で一悶着あったことから、坂口以降はなかなか柔道界から逸材が流入しなくなったことだろうか。

ジャイアント馬場にも見劣りしない体格の坂口征二　©JIJI PRESS

「新日本プロレスファンの皆様、目を覚ましてください」

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　坂口に続いて大きなインパクトを残した柔道から転向した大物といえば、バルセロナ五輪95kg超級銀メダリストの小川直也だろう。プロレスのみならずMMA（総合格闘技）にも挑戦し、一時は柔道出身の大物プロとしては初の二刀流として活躍した。

　プロレスラーとしての小川には“ふたつの顔”があった。

小川直也はプロレスとMMAの双方で活躍した　©Toshiya Kondo

　ひとつは1999年1月4日の橋本真也戦だ。小川がプロレスの範疇を越えた手荒い攻撃を仕掛けたことで両軍入り乱れての場外乱闘に。小川のセコンドを務めた村上和成に至っては集団で顔面を踏みつけられ一時昏睡状態に陥るなど、東京ドームに不穏な空気が充満していた。

　後にも先にもあれほどラディカルなプロレスにはお目にかかったことがない。試合後、小川が放った「新日本プロレスファンの皆様、目を覚ましてください」というマイクアピールは衝撃的だった。

　もうひとつはエンターテインメントプロレスに特化したハッスルにおけるパフォーマンスだ。キャプテン・ハッスルとして参戦した小川は「3、2、1、ハッスル、ハッスル」のかけ言葉とポーズで一世を風靡した。両極端な顔を使い分けられるだけ、プロとして小川の振り幅は広かったということか。

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