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レース後は「やっと終わった!」と笑顔…日本選手権“まさかの3位”も新星フロレス・アリエ(21歳)が明かした本音「重圧の中で走るのが初めてで…」
text by

別府響Hibiki Beppu
photograph byNanae Suzuki
posted2025/07/06 11:25

初の日本選手権で3位となった日体大3年のフロレス・アリエ。日本一を狙うプレッシャーは想像以上に大きかったという
6月には日本国籍も取得し、自身初の日本選手権出場も決まったことで、周囲の期待はいやがうえにも高まっていた。
一方で、冷静に見ればあまりの急成長で過熱する期待に戸惑った面もあるのだろう。
「こんなプレッシャーの中で走るのが初めてで。強い選手になるためには、こんなことも経験しなきゃいけないのか……と思いました」
予想外の急成長…想定以上のプレッシャー
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本人がそう苦笑するように、昨季インカレで二冠を達成するなどブレイクしたフロレスだが、それまでは同世代の中ですらトップ争いの経験がなかった。高2のインターハイで6位に入った経験こそあるものの、その後は「400mの走り方が分からなくなった」とスランプに。高3から大学1年時には現在のベストより10秒近く遅い60秒以上かかることもあったという。
もちろん、日本の頂点を狙うようなレースは本人も初めての経験だった。
「今大会は松本(奈菜子、東邦銀行。今大会は4位)さんと自分の“2強対決”みたいに言われることが多くて。SNSとかでも『2人の勝負』みたいに言われていて……正直『メンタル、キツッ』と思っていました。ちょっとやりづらかったですね。心に余裕がなくて、いつもより精神的にやられた部分はありました」
高校時代をはじめ、これまで3度の日本一に輝いた経験のある松本は、実績だけ見ればフロレスにとっては完全に「格上」。その選手と並べられ、優勝候補と目されるプレッシャーは想像よりも大きかったはずだ。その重圧からの解放感が、レース後の第一声には込められていた。
9月に開催される東京世界陸上の個人での代表入りは厳しくなったが、各リレー種目は地元枠として出場権を与えられる。