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レース後は「やっと終わった!」と笑顔…日本選手権“まさかの3位”も新星フロレス・アリエ(21歳)が明かした本音「重圧の中で走るのが初めてで…」

posted2025/07/06 11:25

 
レース後は「やっと終わった!」と笑顔…日本選手権“まさかの3位”も新星フロレス・アリエ(21歳)が明かした本音「重圧の中で走るのが初めてで…」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

初の日本選手権で3位となった日体大3年のフロレス・アリエ。日本一を狙うプレッシャーは想像以上に大きかったという

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別府響

別府響Hibiki Beppu

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Nanae Suzuki

 今季、急成長中の21歳は、レースを終えると「やっと終わった!」と大きく息をついた。

 7月5日に行われた陸上・日本選手権の女子400m決勝。自身初出場となった大舞台を終えた日体大3年のフロレス・アリエは、いつもと変わらない天真爛漫さでミックスゾーンに現れた。

 自己ベストから遅れること、約1.5秒。「優勝候補の大本命」と言われながらの3位という結果は、傍から見れば不完全燃焼にも見える。だが、意外にも本人はあっけらかんとしていた。

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「まずは2日間やりきれたことは自分にとっては良かった、成長したと思います。思うように調整できていない中でも、53秒台前半で3位に入れたのはとても良かったです」

 そうフロレス本人が振り返る通り、今大会に至るまではなかなか調整がうまくいかなかったのだという。6月の日本インカレでサブトラックでの練習中に他の選手と接触。右手人さし指の骨にひびが入った。加えて直前に風邪を引いたことなどもあり、満足なコンディショニングができなかった。

「この3週間、200m以上走れていなかったんです。だから400mも最初の入りしか練習できていなかったので……」

 裏を返せば、その状態でも日本の表彰台に食い込む地力がついたとも言える。

突如覚醒した女子陸上界の「新星」

 今季のフロレスは5月の静岡国際で51秒71のタイムをマークして優勝。17年前に千葉麻美(当時は丹野姓)が樹立した日本記録を上回る、衝撃の好走だった。冬季シーズンに力を入れた上半身のフィジカルアップが奏功したという。

 父がペルーと日本、母はイタリアとペルーにルーツを持ち、当時はまだペルー国籍だったため日本記録とは認定されなかったが、近年では近づく選手もほとんどいなかったタイムを一足飛びに更新したことで、一躍女子ロングスプリント界の主役に躍り出ることになった。

【次ページ】 予想外の急成長…想定以上のプレッシャー

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