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長嶋茂雄「今日の秋の空のように爽やか」あの巨人退任会見、本当のウラ側…読売新聞が警戒した“不買運動”、王貞治はポツリ「ミスターにふさわしいね」
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永谷脩Osamu Nagatani
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/29 11:02
2001年09月28日、東京ドームホテルで退任の記者会見を行った長嶋茂雄
去る長嶋に王貞治がポツリ「余りにもきれいすぎる」
監督がユニフォームを脱ぐにも様々な形がある。敗戦の責任を取る時、世代交代のために、自分の育てた人材に地盤を引き継ぐ時、球団フロントとの確執によるケンカ別れというのもある。巨人の代々の監督を見る時、次期監督と目される人物が、ヘッドコーチなり助監督なりをやって、次にバトンを渡していくのが伝統であった。川上哲治が監督になったのは、水原茂(故人)の下で3年の助監督を経たのちであった。王貞治が監督になった時も、藤田元司の下で3年の助監督時代があった。ヘッドコーチや助監督経験のないまま、2度も監督を経験しているのは、長嶋監督だけなのだ。巨人をとりまく厳しい現状を考えると、もう一度、伝統をとり戻す必要がある。ヘッドコーチ、助監督経験をした者のみが、巨人の監督を受け継ぐ形に戻す必要がある。だからこそ、原を不安視する読売新聞社や、江川の人気にあやかりたい日本テレビの声を無視して、次期監督を原に決めたのであった。

