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「2年前なら…でも今は藤井さんに追いつけてません」永瀬拓矢32歳、藤井聡太22歳との実力差を包み隠さず語る「準備の差としか言いようが」 

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大川慎太郎

大川慎太郎Shintaro Okawa

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2025/06/22 11:02

「2年前なら…でも今は藤井さんに追いつけてません」永瀬拓矢32歳、藤井聡太22歳との実力差を包み隠さず語る「準備の差としか言いようが」<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

王将戦、名人戦と2つの2日制タイトル戦で藤井聡太と相まみえた永瀬拓矢。今感じることとは

 5月下旬に竜王戦ランキング戦2組で優勝した時は1994点だったが、名人戦第5局で敗退して1989点に、そして王座戦で伊藤叡王に敗れて1979点まで下がってしまった。

「2000点には届かなかったですね。いやあ、今日の負けも激痛だしなあ。まあ、また勝って積み上げていくしかないですね。自分が強くなっているという感覚とレーティングという数字の根拠が一致していて、前向きに取り組めているので」

ハハハ…定期的に2日制を戦えるならVSは必要ないですよ

 次の藤井とのタイトル戦が決まっていることも大きいのだろう。王将戦の後は名人戦、その次は王位戦があるのだから立ち止まっているヒマはない。王位戦開幕まで1カ月ほど空くが、藤井とのVSは再開するのだろうか。

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 すると永瀬は、ハハハと笑ってから「さすがにやらないですね」と答え、こう続けた。

「藤井さんと定期的に2日制を戦えるのなら、VSは必要ないですよ。だから私がどれだけ2日制のタイトル戦に出られるかに懸かっているんです」

 王将戦が始まる前から藤井との練習将棋は止めているというから、もう半年以上になる。2017年5月に始めてから、これだけ期間が空くのは初めてのことだ。両者がそれだけタイトル戦で顔を合わせていることの証である。この正の連鎖を続けるため、永瀬はさらに次の七番勝負である竜王戦の挑戦権も当然、狙っている。

これはもう準備の差としか言いようがない

 次に藤井と対峙する王位戦では、永瀬はどう戦うつもりなのか。

「私は対藤井戦の先手番では角換わり腰掛け銀を指すことは決まっています。ただその定跡の底上げがあまりできていないことが今回の名人戦でよくわかりました。2年前だったら、私の方が角換わりに関しては知識が上だったと思うんですけど、今は藤井さんに追いつけていません。藤井さんはアップグレードができていて、毎回、新機軸を出してきます」

 思い当たることがある。4月の名人戦の開幕戦を私は専門誌の『将棋世界』で取材した。その将棋で先手の永瀬は角換わりを選択すると、後手の藤井が3月の棋王戦第3局で増田康宏八段に指された作戦を採用したのである。第1局の夜に、永瀬はこう語った。

【次ページ】 永瀬が「痛かった」と語る2つの敗戦とは

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