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核心にシュートを!BACK NUMBER
「嬉しいですねキャプテン!」2学年下の久保建英から〈良いパスだった〉サムズアップ…オチャメな町野修斗25歳が日本代表FW争いに急浮上
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/06/16 17:02
インドネシア戦の町野修斗と久保建英。トップとシャドーで好連係を見せた
「代表のセンターフォワードって、どれくらいサイドに流れる必要があると思いますか?」
この質問にはある意図があった。というのも、オーストラリア戦最大の決定機は80分、ゴールの正面に近い位置から久保が右足シュートを放った場面で、町野が“ある動き”を見せていたから。
町野は左サイドのスペースに流れ、そこで後方からのパスを引き出した。つまりチャンスの起点となっていたのだ。そもそも町野は、所属するキールでは3トップの左シャドーが主戦場で、ビルドアップやチャンスメイクにも関わってきた。オーストラリア戦の形に町野が固執しても不自然ではない。
遠藤から「基本的にサイドへ流れる必要はないよ」
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しかし、町野はこだわりすぎることなく、ピッチの外から試合を見ていた遠藤に意見を求めた。そして、こんな答えをもらった。
「基本的にサイドへ流れる必要はないと思うよ」
遠藤の意見に加えて周囲の選手とディスカッションを重ねて、町野はサイドに流れるより、中央での上下動を繰り返した。しかも、インドネシアのセンターバックがマンツーマン気味に捕まえに来る傾向にあることも事前に頭にいれながら。町野が下がれば、彼らが付いてくるため、DFラインの乱れが生じたり、スペースが生まれる。これが、前線の流動性を生んだ。
わかりやすいのは43分のシーンだろう。
町野がDFを食いつかせつつパスを受ける素振りを見せながら、中盤に降りる。ボールを持っていた左センターバックの鈴木淳之介は、町野が開けた後方のスペースへと長いボールを送る。すると、左ウイングバックの三戸舜介がそのスペース目がけて走り出していった。最終的には相手の捨て身のクリアにあったが、センターフォワードがスペースを作り、他の選手が使う動きとして教科書に載せたいようなシーンだった。
その1分後にも、ペナルティーエリアにさしかかるところで町野が相手を背負い、久保からのパスを受ける。パスを出して走り出した久保は町野を追い越し、エリア内へ。そこに町野が浮き球のラストパスを送った。久保のダイレクトシュートはゴール左に逸れたが、ゴールシーン以外で最大と言える決定機だった。
久保が〈良いパスだった〉とサムズアップ
実際、あの直後に久保は親指を立て、町野へサインを送っている。

