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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「中日選手の新婚旅行でサプライズ」“仕掛け人”涌井秀章38歳の評判「イメージと違った」ドラ1・草加勝も160km右腕・勝野昌慶も驚いた“涌井の素顔”
text by

長尾隆広Takahiro Nagao
photograph byKYODO
posted2025/06/17 06:00
西武、ロッテ、楽天を経て2023年シーズンから中日でプレーする涌井秀章(38歳/中央)
すでに旅行会社経由で旅行を申し込んでいた梅津だったが、結婚を涌井に報告すると、「現地にいる旅行会社の人に知り合いいるから、言っとくよ」とさらり。そしてホテルにチェックインすると「高層階」「オーシャンビュー」の部屋にグレードアップされていた……! 19時間の時差もお構いなしに、梅津は涌井へお礼のLINEを送った。
技術面でも涌井を尊敬している。「涌井さんのキャッチボールは、子供の頃に想像していたプロ野球選手のキャッチボールでした。糸を引くような低くて強い球です」。私も、記者時代に藤川球児(現・阪神監督)や、山井大介(現・中日投手コーチ)を見て、プロ野球の第一線で活躍するためのキャッチボールの重要性を目の当たりにしていた。それを同じプロ野球選手も感じていたのだ。
リハビリ中の“ドラ1”草加も証言
涌井と15歳以上離れた20代前半の投手たちも、涌井を慕っている。
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23年のドラフト1位・草加勝(23歳)は昨年2月に右肘のトミー・ジョン手術を行い、長くリハビリ組にいた。当時、同組にいた涌井が、草加、岡田俊哉、仲地礼亜、トレーナーらを誘い「リハビリ組」で食事会を主催。鍋を囲んだという。
日本一過酷な練習環境、練習量で知られる亜大出身の草加から見ても、「涌井さんが走っていて、辛いとか苦しいとかいう表情を見たことがない。もちろんベテランなのである程度調整を任され自分で練習メニューを組めるとは思うんですけど、練習量、特に走る量がすごい」と目を丸くする。
若手選手に注意も…
今年、球団日本人最速の160キロを記録した勝野昌慶(28歳)は、涌井のポーカーフェイスに感心する。勝野自身もあまり表情を出さず、静かに闘志を燃やして打者と対峙するタイプだが、「涌井さんはもっとすごい」と舌を巻く。さらに、昨シーズン救援に失敗した時には、「いつも中継ぎに負担かけてごめんね、次はもっと頑張る」と連絡をもらい、奮い立った。
他にも話を聞いた、森博人や仲地、野手の田中幹也や鵜飼航丞、後藤駿太も口を揃えて「涌井さんからコミュニケーションをとってきてくれる。こちらも話しかけやすい」と明かす。
もちろん、時に厳しさも見せる。今春の侍ジャパンに初選出された橋本侑樹(27歳)は、涌井から“一言アドバイス”を受けた。ルーティンの練習をこなしている時のことだった。
「お前、最近雑にやっているだろ」
橋本は「見抜かれた」と感じたという。野球界に限らず、人は無意識に楽な方向へ流れていくもの。「抑止力」としても、背番号20はチームメイトを支えている。
〈つづく/「涌井会とは?」編へ〉


