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「結婚しないなら別れて」“中日クビ危機”山崎武司が覚醒した現妻の最後通告…「ユニホーム着させねーぞ!」星野監督は20キロ減量令 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byJIJI PRESS

posted2025/06/08 11:02

「結婚しないなら別れて」“中日クビ危機”山崎武司が覚醒した現妻の最後通告…「ユニホーム着させねーぞ!」星野監督は20キロ減量令<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1996年の山崎武司。94年頃は戦力外もちらついていたが、結婚を機に覚醒を果たした

 星野仙一が5年ぶりに復帰。第2次政権の幕開けだった。秋季キャンプが始まり、星野は早速、山崎を呼び出した。

「お前、体重は何キロあるんや?」

 山崎が「110キロくらいです」と答えると、耳を疑う言葉が指揮官から返ってきた。

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「春季キャンプまでに20キロ落とせ。やせられなかったら分かっているな。ユニホーム着させねーぞ」

 山崎に厳命を受け入れる以外の選択肢はない。春季キャンプまで、わずか2カ月。20キロの減量に挑むしかなかった。

22キロ減量に成功…星野は一言「そうか」

 山崎は食事制限とトレーニングで体重を落とそうと考えた。食事は朝昼兼用と夕食の1日2回。野菜中心のメニューで量も抑えた。トレーニングは1時間のランニングから1日を開始。ランニングの次は、ストーブでサウナ状態にした部屋でエアロバイクを1時間こいだ。噴き出した汗は止まらず、意識が朦朧とする時もあった。

「普段はアニメを見ないのですが、気を紛らわすために名探偵コナンのビデオをずっと見ながらエアロバイクに乗っていました。コナンを3話見ると、1時間経ちました」

 エアロバイクを終えると、風呂に直行した。風呂はミストサウナになっていて、汗を30分間出してから、ようやく食事を取った。減量開始から10日。常に空腹の辛さはあったが、体重は10キロ落ちた。

「意外と簡単に20キロ減らせるかもしれない」

 しかし、ここからが地獄だった。体重が落ちるペースは急激に遅くなる。食べる量を減らしても、汗を出しても、体重計の数字がなかなか変わらない。春季キャンプが2週間後に迫った段階で、あと5キロの減量が必要だった。タイムリミットが迫る中、山崎は“秘策”に打って出る。わざと風邪をひいて、食欲を落とす作戦だった。

 風呂から上がると、しばらく外へ出て体を冷やす。無理なダイエットで免疫が落ちていることもあって、作戦通りに体調を崩した。残り2週間でラストスパートをかけてキャンプイン。2カ月ぶりに顔を合わせた星野から「何キロになったんや?」と声をかけられた。山崎が「88キロです。22キロ落としました」と答えると、一言だけ返ってきた。

「そうか」

22キロ落としたのと“別の違和感”とは

 とはいえ山崎は星野からの課題をクリアし、ユニホームを着る権利を手にした。キャンプイン以降も、驚きの連続だった。

【次ページ】 22キロ落としたのと“別の違和感”とは

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