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「今の中日は打てなさすぎ…去年は68本だけ」“開幕11連勝”伝説のドラゴンズ、優勝メンバーが苦言「あの年、山崎・ゴメス2人で64本だから」 

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遠藤修哉

遠藤修哉Naoya Endo

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posted2025/05/30 17:00

「今の中日は打てなさすぎ…去年は68本だけ」“開幕11連勝”伝説のドラゴンズ、優勝メンバーが苦言「あの年、山崎・ゴメス2人で64本だから」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

1999年9月、中日ドラゴンズが1988年以来11年ぶりのセ・リーグ優勝。ナインに胴上げされる星野仙一監督

 ピッチャーには辛抱強く、野手には厳しい。そんな星野流のバランス感覚が心地よかった。共通の恩師、島岡吉郎監督に鍛えられた明大出身の武田だからこそ、星野の「本当の姿」が見えていた。

「投手出身で、抑えもやった人だから、先発の気持ちも、抑えの気持ちもわかってる。怒るときは怒るけど、それも計算のうち。野手には短気だったけど(笑)。でもそれも選手を締めるポーズだったりするんだよね」

「暗い顔やめよう」「オレ、優勝争いしたことないけど」

 開幕ダッシュを決めた中日だが、5、6月、チーム状況は下降線をたどり2カ月連続の負け越し、2位巨人の猛追を受けることになる。チームの転機は7月に訪れた。2位巨人とのゲームが7月6、7日と札幌円山球場で行われた。7日の試合前、選手会長だった立浪が、選手を集めてミーティングを開いた。

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「ベテランの言葉が欲しかったみたいで、立浪に『武田さんなんかありますか?』って言われてね。だから『なんでみんなそんな暗い顔してるの? 相手は今、必死に食いついてきているけど、調子は長くは続かない。また落ちてくるから、暗い顔してプレーするのやめよう』と言ったんだ。『オレ、優勝争いしたことないけど』って付け加えたけど」

 その試合は武田が先発登板。6回1/3を3失点。9回に勝ち越した中日が巨人を下した。FA移籍のベテランの肝の座ったマウンドだった。

「北海道の空は高いな、なんて思いながら投げていたよ。7月なのにもう秋の雰囲気の空だな、なんてマウンドで思ってたよね」

 チームは息を吹き返し、7月は14勝5敗、8月は13勝10敗、8月24日にはマジックが点灯した。マジック点灯後は足踏みが続き、マジック消滅、首位陥落の危機を迎えるものの、9月30日優勝を決めた。

「プロ初の優勝だったんで嬉しかったよ。でも、古巣のホークスが、先にパ・リーグ優勝したことに感動したんだよ。『日本シリーズで戦える』っていう。ホークスを出るとき優勝に未練を残していたから。セーブ王獲ったり、最多勝獲ったり、個人タイトルは手にしたんだけど、優勝だけはなかった。中日はマジックを淡々と減らして行く感じだったんでそれほどでもなかったんだけどね」

「ゴメス、山崎だけで64本。2024年はチームで68本」

 圧倒的に中日有利の下馬評だった日本シリーズでは、古巣ホークスの工藤公康の前に打線が沈黙した。

「ゴメスも関川(浩一)も全然打てなくて、5試合中3試合が完封負けだった。山崎も骨折して欠場していたから、痛かったね」

【次ページ】 「ゴメス、山崎だけで64本。2024年はチームで68本」

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