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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「この舞台に戻ってこられて嬉しい」箱根予選会で“1年生が日本人No.1”あの「衝撃のルーキーイヤー」から2年…東農大・前田和摩(20歳)の復活劇
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph bySatoshi Wada
posted2025/05/28 06:01

昨年の日本選手権1万mでは学生新記録で3位に食い込んだ東農大の前田和摩。そこから1年以上のブランクを経て、ようやく表舞台に帰ってきた
「ひたすら悔しかったですし、自分は外から応援することしかできず、無力感も感じました。“来年こそは”という思いでした」
こう再起を誓うも、その後もなかなか復帰できず歯痒さを募らせた。
「チームで共有される練習結果を見たり、グラウンドでウォーキングをしている時にみんなの練習を見たりして、みんなに助けられているというか、自分もこの中に加わりたいなと思いました」
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走れなかった期間を前田はこのように振り返る。
1年以上ぶり「実戦復帰」の結果は…?
ようやく復帰の目処が立ったのは、今年の春になってからだった。
実戦からは1年以上遠ざかっており、まだまだ万全というわけではない。それでも全日本選考会でレース復帰を果たし、前田は走れる喜びを噛み締めるかのように1万mを走った。
「だいぶ期間が開いたので、(1年前の)日本選手権の時の感覚とは全く違う。でも、過去の自分ばかりを気にしていたら、たぶんしんどくなってしまうので、また新しく一からという形で、これから頑張りたい」
復帰レースでもその才能の片鱗を見せたが、本領を発揮するのはこれからだ。
前田も慎重を期す構えなのだろう。目標を問われても、決して大きなことを口にすることはなかった。
「この1年間はチームで出るレースに集中したい。自分のタイムを狙うレースをやらずに、地道にまた一からベースを作り直すという年になると思います。次は箱根予選を目指してしっかりと準備していこうと思っています。
チームの先頭に立って、チームをぐいぐい引っ張るのが自分の役割だと思う。みんなに『前田も頑張っているし、俺らももっと頑張ろう』と思ってもらえるような走りを予選会までの練習でも、予選会でもできたらと思います」
まずは10月。昨年1秒差で涙を飲んだ箱根駅伝予選会で、今度こそチームの力になる覚悟だ。

