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「この舞台に戻ってこられて嬉しい」箱根予選会で“1年生が日本人No.1”あの「衝撃のルーキーイヤー」から2年…東農大・前田和摩(20歳)の復活劇

posted2025/05/28 06:01

 
「この舞台に戻ってこられて嬉しい」箱根予選会で“1年生が日本人No.1”あの「衝撃のルーキーイヤー」から2年…東農大・前田和摩(20歳)の復活劇<Number Web> photograph by Satoshi Wada

昨年の日本選手権1万mでは学生新記録で3位に食い込んだ東農大の前田和摩。そこから1年以上のブランクを経て、ようやく表舞台に帰ってきた

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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 5月にレモンガススタジアム平塚で行われた全日本大学駅伝の関東地区選考会。11月の伊勢路に出場する7校を決める熱戦が繰り広げられた一方で、あるひとりのランナーの名前を多くの関係者が注視していた。かつて名実ともに世代トップ級の活躍を見せたスーパールーキーが、ようやく表舞台へと戻ってきたのだ。《NumberWebレポート全2回の2回目/最初から読む》

 2年前の全日本大学駅伝選考会で、当時ルーキーだった東農大の前田和摩は衝撃のレースを見せた。

 最終組を任された前田は、最後まで留学生と先頭争いを繰り広げた。残り1周を前に、思い切って勝負に出ると、スタンドからは大きなどよめきが湧き起こった。結局1着は逃したものの、留学生に割って入って日本人トップの3着となり、14大会ぶりの本戦出場の立役者になった。

 記録も、目標を大きく上回る28分03秒51。これは、全日本選考会の日本人最高タイムだったばかりか、U20日本歴代2位(当時)の好記録だった。高校時代にも、インターハイの5000mで日本人トップの4位という実績を残しており、その実力は知られていたが、改めて並のルーキーではないことを証明してみせた。

衝撃だったルーキーイヤーの「快進撃」

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 その後もルーキーイヤーの前田の快進撃は続く。

 10月の箱根駅伝予選会でも留学生に果敢に挑み、日本人トップの9位と健闘。10年ぶりの本大会出場に貢献した。また、ハーフマラソン初挑戦ながら、U20日本歴代2位(当時)となる1時間1分42秒の好記録をマークした。

 箱根駅伝本選はケガの影響で7区13位と本来の活躍とは程遠かったが、2年生になって早々の5月、パリ五輪の日本代表選考レースだった日本選手権10000mでさらなる衝撃の走りを見せる。

 ターゲットナンバー(出場枠)は「30」で、当初前田は出場圏外だった。欠場者が出たことで繰り上がりの出場にこぎつけると、巡ってきたチャンスに、前田は思い切ったレースを見せた。

「自分の力がどこまで通用するのか、とにかくがむしゃらに付いていくことだけを考えて走りました」

 こう話す前田は積極的にレースを進めた。

【次ページ】 日本選手権後に襲われた「肺気胸」

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