「名鉄…経営参加してたの？」「杉下茂の頃から明大閥」じつは知らないドラゴンズ89年史「星野政権はセ制覇2回、落合中日は？」 

　1936年から49年まで続いた1リーグ時代、巨人は2シーズン時代（1936-38）も含めて8回優勝、阪神（大阪）は4回優勝、南海（現ソフトバンク）が2回優勝しているが、中日は1度も優勝していない。巨人、阪神との実績の差は大きかった。

　その中日が創設以来、初優勝したのが1954年。宿敵巨人に5.5差をつけた。余勢を駆って日本シリーズでも西鉄を4勝3敗で下し、初の日本一になった。

杉下、星野、川上、柳…受け継がれる“明大閥”

　1954年の優勝の顔ぶれを見ると「明治大学」の4文字が浮き出てくる。

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　監督の天知俊一は明治大学出身。32勝してMVPに輝いた大エースの杉下茂は、天知が帝京商業監督だった時代からの教え子。外野手の原田徳光、三塁手の児玉利一、遊撃手の牧野茂（のち巨人ヘッドコーチ）、捕手の野口明、内野手の土屋亨も明治大学。杉下を中心に、名将・天知を慕う明治大OB選手の力で初優勝を果たしたのだ。

1954年の日本シリーズでMVPに輝いた杉下　©JIJI PRESS

　生前の杉下茂さんは、このように語っていた。

「天知さんは（帝京商業の）英語の先生で、1年生のときから知っていた。そして野球も教えてもらったんです。天知さんが中日の監督になると聞いて、うちの母は『お前、プロ野球に行くんだったら天知さんのところだよ。天知さんは3年契約だそうだから、お前も3年だよ』と言いました」

　以後も中日ドラゴンズは、内野守備の名手である一枝修平、エース星野仙一、江川卓キラーだった豊田誠佑、MLBでも投げた川上憲伸、左腕・小笠原孝、現楽天の阿部寿樹、現役でも柳裕也、村松開人と明治大出身選手が時代時代にファンの記憶に残る活躍をしてきたのだ。

　1954年にリーグ初優勝した中日だが、そこからまた、なかなか優勝できなかった。2位には何度もなったが、今一つ踏ん張れなかったのだ。

巨人のV10を阻止…星野は初代セーブ王だった

　次のリーグ優勝は、20年後の1974年。1965年から続いた空前の巨人V9（セ・リーグ、日本シリーズ9連覇）にストップをかけて20年ぶりに、ペナントを獲得した。この年から「セーブ」が正式記録となったが、エース星野仙一は、与那嶺要監督から「救援転向」を求められ抑えに回り、初代セーブ王になる。左腕・松本幸行が20勝を上げた。

　野手陣では谷沢健一、高木守道、木俣達彦、島谷金二、大島康徳と生え抜き勢に、この年入団のジーン・マーチンという強力打線で巨人と競り合い優勝した。最終的に巨人とはゲーム差なし。わずか1厘差の優勝だった。なお、この年10月14日の後楽園球場での巨人との最終戦は長嶋茂雄の引退試合となった。日本シリーズはロッテ相手に敗退。

　3度目の優勝は近藤貞雄監督時代の1982年だった。

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