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「寂しさより、厳しいな…という」25歳になった中日・根尾昂の現在地 大阪桐蔭“最強世代”の同期は戦力外も…周囲の言葉は「気にしていないです」
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph by(L)NumberWeb、(R)Sports Graphic Number
posted2025/05/29 11:00

大阪桐蔭“最強世代”のひとりとしてプロで厳しい戦いに身を置く中日・根尾昂。かつてのチームメイトの現状と、自身の立ち位置をどう考えているのだろうか
覚えていない。そんな言葉が口をつくほど、もがき苦しんだ時間だったのだろう。
「悔しかったのは、成績もですし、内容もです。上手くいかないところがあって、ずっとそこでぐるぐるしていた感じ。(投球のメカニック的な部分が)一番ですけど、ここをこういう風にしたいということも、シーズン中はなかなかうまくいかなかった。噛み合わなかったという感じです」
シーズン終了後、立浪和義監督に代わり、二軍監督として根尾を見守ってきた井上一樹新監督が就任。背番号は入団時からトレードマークだった「7」が「30」に変わった。
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チームに求められている役割は、ロングもこなせるリリーフ。投手として迎える4年目のシーズンを前に、根尾が立ち返ったのは「基礎」だという。
「基礎的なところの積み重ねが大事だなということを感じました。ピッチングフォームに関しては、シンプルに、というところが一番。且つ自分のいい球が行くように、と。もうそれだけです。スムーズな動きを追求すると、基礎練習に行き着く。走るのもそうですし、投球につながる動作のトレーニングとか、ずっとそればっかりですね」
ここ数年、二段モーションでためを作る投球フォームなど様々な投げ方を試行錯誤してきた。現在は下半身主導でボールに力を伝えるという「軸」は大切にしながら、より根尾自身が違和感のない自然な投球フォームに行き着いている。
オフにはベテラン・涌井と自主トレも…
オフシーズンには、投手陣の精神的支柱であるベテラン、涌井秀章に声をかけられ自主トレを共にした。徹底して走り込み体を作り上げる姿に、4球団を渡り歩きプロで20年以上投げ続ける右腕の真髄を見たという。
「他のどの選手よりも追い込んでいる。僕も涌井さんの自主トレに行くことになっていたので、12月も準備してより一層走り込みに力を入れていたのですが、実際に行ってみたら思っていた以上にランニングや、投球動作に繋がるトレーニングの量はすごかったです」
涌井からは「足を上げたとき、きれいに立ちなさい」という言葉をかけられた。シンプルな助言のようで、体の軸や体重移動、力の伝達などピッチングの全てのことに通じる深い言葉だ。