東京六大学野球“9年ぶり”ノーヒットノーランはなぜできた？ 偉業達成の早大エース…ベテラン記者が見た快挙のワケは「高校時代の2倍」の太モモ？ 

　練習前の立ち話では、素直な泣きが入っても、実戦のマウンドに上がると、いつもいかにも「伊藤樹」らしく投げて、いつも好投して勝ちを引っ張ってくる。相手を抑えたことしかない、勝ったことしかない投手だ。

実戦マウンドで見せる伊藤の「安定感」

「ミスター・コンスタント」……炎上したのをみせたことがない。いつも持てる力量通りの投球内容で、燃えすぎることなく、ギアを上げたり戻したり。目の前の打者だけじゃない。そのあとの3人ぐらいの打者を脳の中で視野に入れて投球プランを立てながら、バックが安心、信頼しながら守れる軽快なテンポでピッチングを展開する。

「ミスター・ローボール」……いつも低い、穏やかな話しぶりで腰も低いが、投げるボールはもっと低くて、投げ損じがまずない。

六大学野球で安定感を見せる伊藤　©JIJI PRESS

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　カーブにスライダー、カットボール、チェンジアップに、スプリットにツーシームもありそうだ。持ち球をすべて打者のヒザの高さで操り、ストライク、ボールの出し入れができる。昨秋あたりからか、その高さに伸び感抜群の140キロ後半をドカーンと持ってこられるようになって、一段と凄みを増した。

　変化球を低めで操れるのは、ボールの変化点が打者に近いからだ。

　見た目、スイッ、スイッと投げているようで、こういうボールを投げるのはすごく骨が折れる。下半身の体重移動のリードで腕を引っ張り、ぎりぎり打者に近いポイントでボールを離す。しかも、全力で腕を振らないと、低めへの軌道は作れない。

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