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「おかしな格好で撮影」「未払いで音信不通に…」ビーチバレー西堀健実がダマされた“アスリート活動支援のワナ”「周囲への相談も大切です」
text by

吉田亜衣Ai Yoshida
photograph byBeachVolleyballStyle
posted2025/05/22 11:03
西堀健実さん(Biid株式会社所属)のNumberWebインタビュー第4回/ウエア提供 ウィルソン
弱みにつけこまれたこの一件を、西堀は「塗りつぶしたい黒歴史」と話す。だからこそ、スポンサー活動をしている今のアスリートたちも注意してほしいと言葉に力を込める。
「今はSNS上で『アスリートの活動をサポートします』という広告が流れてくるようになりました。応募して誰かに動いてもらって賄えるなら、その分練習に時間を割くことができるので、今スポンサーを探している選手たちは目がいくと思います。だけど、1人で判断するのではなく、周囲に相談することも大切。そのうえで自分の意志で判断していくといいと思います」
フリーランスからトヨタ自動車ビーチバレー部へ
ビーチバレー転向後、さまざまな競技環境で戦ってきた西堀。アルバイトとの兼任、事務所との社員契約、フリーランス。そして2015年には創部されたトヨタ自動車ビーチバレーボール部の嘱託社員として入社した。遠征のたびに、血眼になって格安チケットを探していた西堀にとって、そこは味わったことがない恵まれた世界だった。
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「この環境でやらせてもらっているからこそ、何もやらないわけにはいかないって思いました。結果で返すのはアスリートとして当たり前。プラスアルファで会社のためになることはないかと。なるべく出社日を多めにして、部署の皆さんとコミュニケーションを図り、時間があるときにはビーチコートにきて身体を一緒に動かすことも。出社できないときは、毎週水曜日にメルマガを配信していました。それが本社まで展開されて、読んだよ、と声をかけて頂いたこともありました。部署の飲み会にも積極的に参加しましたね。私がいた衣浦工場はビーチバレーボール部が初の運動部。アスリートと接することも少なかったようで社員さんとのお話は尽きませんでしたね」
年末年始には、アテンドしてもらいながら、工場内を1人で視察していた。そんな西堀の日々の行動は、トヨタ自動車運動部における社内・地域・アスリートの模範となるインテグリティの活動に貢献したアスリートと評され、2021年に表彰を受けた。
「ビーチバレーボール部第1号で表彰の盾をいただきました。個人の活動を認めていただいたんです。なかなか会社の中で自分から行動を起こすのは難しいと思います。やりたいけど、どうやっていいかわからない人もいれば、行動しようと思わない人もいる。私の姿を見て、自分もちょっとやってみようと思ってくれればいいなとは思っていました」

