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「1位のほうがおかしいんですよ(笑)」優勝→“96敗”のどん底で元ヤクルト監督・真中満が「嵐の曲を聴いていたら涙が」…天国と地獄の監督人生 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2025/05/07 11:04

「1位のほうがおかしいんですよ(笑)」優勝→“96敗”のどん底で元ヤクルト監督・真中満が「嵐の曲を聴いていたら涙が」…天国と地獄の監督人生<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

天国から地獄へ。優勝した2年後に96敗を喫した最下位シーズンも含め、監督人生を率直に回想してくれた真中満氏

「何をやっても上手くいかない。追い込まれていましたね。強さを維持することって本当に難しい。スワローズにはチームワークの強さやファミリー気質とか、いい部分がめちゃくちゃあるんですけど、それが全てプラスの方向に働くのって1、2年の間だと思うんです。慣れてくると必ず、なあなあの部分が出てくる。

 会社でも2、3年で部署異動や転勤があるように、常に活性化していかないと組織はうまく働かないんですよね。僕は3年間、首脳陣の顔ぶれをほとんど変えなかったんですが、今思えば3年目に、もう少し刺激をもたらすコーチを入れるとか何か変化が必要だったのかなとも思います」

中嶋監督の言っていたことがすごくわかる

 昨年、パ・リーグで3連覇を果たしたオリックス・中嶋聡監督が辞任した際に「チームの慣れや緩み」という要因を口にしていたが、真中氏はこの言葉を「すごくわかる」と明かす。

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「1、2年目って選手は監督の言葉に常に聞き耳を立てているんです。新しい監督はどんな考え方をするのか、その意向を敏感に察知してアピールしようとする。でも3年目にもなると、選手は意識が鈍くなるし、逆に監督にも慣れが出てあえて言葉にしなくなるようなことも出てくるんです。“慣れ”は本当に難しい。長く監督を続けて何度も優勝している監督は本当に凄いなと尊敬します」

 8月に入りレギュラーシーズンの負け越しが決まると、真中監督は球団側に辞意を伝え、22日にシーズン限りでの退任が正式発表される。この年、喫した黒星は球団史上ワーストの「96敗」。屈辱のシーズンを最後に、真中氏は慣れ親しんだユニフォームを脱いだ。

【次ページ】 カラオケで嵐の曲を聞いていたら涙が

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