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将棋トップ棋士でも“AI疲れ”はあるのか「なんとなく時間が過ぎて」タイトル経験者・広瀬章人が語る実態…藤井聡太や羽生善治の棋譜を並べる深い理由
posted2026/06/07 17:01
長年にわたってトップ棋士として活躍する広瀬章人九段だが、AIとの向き合い方を変えているという
text by

大川慎太郎Shintaro Okawa
photograph by
Hiroshi Kamaya
広瀬章人九段は、順位戦A級からの陥落という挫折を経て、あえてAI研究を「減らす」という逆転の発想にたどり着いた。一見アナログに見えるその選択が、終盤力を磨き直し、A級復帰という結果を引き寄せた。広瀬九段の言葉の裏に、AI時代を生き抜くための深い洞察が宿っている。強さとは、勉強とは何か――そのヒントが、この対話の中に詰まっている。
AIとの付き合い方を変えた復帰劇
――順位戦A級復帰という結果が出たわけですが、具体的に何を変えたんですか?
「AIで研究しすぎないように気をつけました。やっぱりなんとなく研究して、なんとなく時間が過ぎている感覚があって、身になっている気がしなかったんですよね。前から思ってたんですけど、集中力も落ちているような気がしたし、ちゃんと理解してるのかなって。研究を理解するのって結構、時間がかかるし、集中力も必要なんです。常に半信半疑だったので、いっそのことAIを使うのは何時までって決めて、その時間になったら一旦パソコンを消すようにしました。そうしたら結構、効果があったんです」
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――その方法を始めたのはいつ頃ですか?
「2024年に入ってA級から陥落した後くらいですね。A級から落ちた翌年度は確かに順位戦の成績は振るわなかったんですけど、他の棋戦ではすごく勝っていて、一時期は対局数1位だったと思います。竜王戦の挑戦者決定戦に進出しましたしね。ただ自分も30代後半と若くなかったので、対局数が多くなると連戦連勝というわけにはさすがにいかなくなってきました。安定してパフォーマンスを発揮するには週1局ぐらいじゃないと厳しいな、と。それで勉強のやり方を変えたんです」
――パソコンでのAI研究を減らした分の時間は休んでいたのですか? それとも他の勉強をしていたのですか?
「詰将棋や棋譜並べの地味なトレーニングを欠かさずにやるようになりました。そのおかげで中、終盤の能力が落ちずになんとか踏みとどまれたような気がしています」
地味なトレーニングが終盤力を支える
――詰将棋を解く時に意識していることはありますか?
「朝は割と短手数、長くても15手ぐらいのものを解いています。ウォーミングアップ的な位置づけです。パソコンを消したあとは、専門誌の『詰将棋パラダイス』の長手数の問題にチャレンジするか、それとも解き残した問題をひたすら考えるか、それは日によります。新規の問題よりも、解き残した問題をずっと考えるほうが効果があるような気がします。解けるのがもちろんベストですけど、解けなくてもトレーニングになる。ちゃんと集中して考えたほうが脳の活性化にはつながると個人的には思っています」

