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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
スターダム“敗者引退マッチ”に賛否も「伝説の試合になる」上谷沙弥が断言…「もう、好きとか嫌いとかじゃない」愛憎を超えた“中野たむへの思い”
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/04/19 17:11

引退をかけて中野たむと対戦する上谷沙弥。宿敵への“本当の思い”を明かした
「そうだね、たしかに私は引退をかける必要はなかったかもしれない。でも、これはプロレスラーにしかない感覚かもしれないけれど、挑戦者が人生かけてやるって言っているんだから、それを受け止めたかった。そうすることで、近年のプロレスラーが見たことがない最高のプロレスの景色が見られると思ったから。負けるつもりは一切ないけれど、勝負の世界だから、負ける可能性はゼロじゃない」
「もし、負けたらどうする?」と聞いてみた。「やることない……」と上谷は一瞬、沈黙したが、あり得るかもしれない未来を想像しながら話した。
「デビューしてからプロレスしかやってこなかったから。いざ、何やろうと考えても思い浮かばないな。別の仕事するのか、裏方なのか。いっそのこと、日本を出て、海外に行っちゃうのか。今は勝つことしか考えていないからな。何も浮かばなくて当然だろ」
「まっすぐでバカ正直」上谷沙弥のプロレス愛
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「中野たむを襲撃している動画とかを改めて見ると、私ぶっ飛んでるのかな? と思うよ。ある程度ネジが取れてないとプロレスできないからね(笑)。なんでこんなにプロレス好きになったんだろうな。最初は見たこともなくて、戸惑ったまま練習生になった。それから、なんか半信半疑でやっていて……。それが、なんでこんなにのめり込んだんだと思う? 私、超まっすぐなんだよね」
上谷は「まっすぐ」という印象的な言葉を使った。
「バカと天才は紙一重とか言うだろ(笑)。一つのこと考えると、それだけしか考えられなくて。短所でもあり長所でもあるな。自分のまっすぐさをプロレスに全て注いでいたら、こうなっていたんだよ。さっきも言ったけど夢にも出るくらい、24時間プロレスのことを考えているよ」
その「まっすぐ」さが、人の心を動かした。2月に出演したバラエティ番組『千鳥の鬼レンチャン』では、過酷な300m走サバイバルに全力で挑む姿がプロレス界を超えて話題を集めた。
「『鬼レンチャン』に出た時もこれしかないって思って、バカ正直に走りこんで、なんとか爪痕残せた。そうすればもっと女子プロレスが発展していくと信じてたんだ。メディアもいろいろ出ている。『しゃべくり007』に出たいって、前に東スポで言ったんだよ。それも現実になった。口に出すのって大事。収録は一瞬で過ぎ去ったけど、プロレスを広めることだからな。プロレスラー上谷沙弥の延長線上で、これからも機会があれば出ていきたいな」