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プロレス写真記者の眼BACK NUMBER
スターダム“敗者引退マッチ”に賛否も「伝説の試合になる」上谷沙弥が断言…「もう、好きとか嫌いとかじゃない」愛憎を超えた“中野たむへの思い”
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/04/19 17:11

引退をかけて中野たむと対戦する上谷沙弥。宿敵への“本当の思い”を明かした
過去の苦い思い出を噛み締めながら、上谷は語った。
「自分は自分を絶対に裏切らない。『鬼レンチャン』じゃダサいところもさらけ出しちゃったけど、リング上では格好いい自分を見せたいからな。強くなった。だいぶ、強くなった。ここまで来るのにいろんなことがあったよな。フェニックススプラッシュで白川未奈にケガをさせて、(中野戦では)プランチャで飛んで脱臼した。ファンとのサイン会のこともあったしな。6年、7年目か。そんな経験が自分の心を強くした。それが自信につながってるんだよ」
4月27日の横浜アリーナは「伝説の試合になる」
「4.27は引退がかかっている。一人になると当たり前の日常だと思っていた控室、リング上でのH.A.T.E.のメンバーさえ愛おしく感じる。もし、私からプロレスがなくなったらどうしようとか思うけれど、史上最強の格好いい自分で4.27を迎えたい」
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上谷と中野は4月27日、横浜アリーナの大観衆の前で向き合う。もう、誰も止められない。
「1万人の声援。名前を呼ばれても、ぐちゃぐちゃで聞こえない気がする。悲鳴、泣き叫ぶ声……。退団マッチのときも異様な空気だったけど、それ以上だろうな。3.3を超える試合というハードル? あの時はSNSが荒れて、想像以上に止まらなくて、世間を巻き込んですごいことになっていた。やべえこと起こしてるんだなって感じた。あれ以上にすごいものが何なのかはわからないけれど、赤いベルトと引退がかかって、満員を目指してる。もちろん退団マッチ以上の試合ができると思う。中野たむとは10回以上シングルで試合しているのに、まだまだ、もっとすごい試合ができる。すべてがそろっている。横浜アリーナという場所もね。技のクオリティ云々じゃない。互いの気持ちがぶつかりあったら、伝説の試合になると思っている」
多くのファンが「今の上谷沙弥」に惹かれている。その理由をどう考えているのだろうか。
「本音で話すこと。本音で話したほうが、気持ちが伝わるから。ベビーの時は良い子ちゃんぶってたな。私が新しい令和のヒール像を築き上げてる。ファンからも『優等生だった頃より心からプロレスを楽しんでいるように見える』とか言われるよ。ヒールなのに泣いてるとか『ヒールだから』にとらわれてるヤツに指摘されるのイヤだね。別によくない? 誰がそのルール決めたんだよ。私は私だし。リング上では徹底してヒールとして闘ってる。こうじゃなきゃ、ああじゃなきゃと型にはめ込まれたくない。人と同じなの嫌いなんだよね。私を見て欲しいよ。これが上谷沙弥という存在だから。自分という存在を認めさせたい」