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名人・藤井聡太“AI超え終盤力”発動に騒然「どれだけ研究してるのか」序中盤も強烈なのに…「超難問・詰将棋解答選手権で異次元の全問正解」 

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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posted2025/04/17 06:00

名人・藤井聡太“AI超え終盤力”発動に騒然「どれだけ研究してるのか」序中盤も強烈なのに…「超難問・詰将棋解答選手権で異次元の全問正解」<Number Web> photograph by NumberWeb

名人戦第1局で先勝した藤井聡太名人。詰将棋解答選手権を含めて持ち前の終盤力が“AI超え”の凄まじさを見せている

 藤井「△8一飛と逃げたところでは、うまく寄せられたら負けになるような怖い局面でした。最後は読み抜けがなければ、詰んでいると考えていました」

 永瀬「相手が飛車を逃げた局面では、本譜より難しい順を指すべきでしたが、具体的に分かりませんでした。本譜は見切られてしまいました」

 それにしても、藤井が自玉の危険を覚悟しながらぎりぎり凌ぎ、一瞬の隙をついて永瀬の玉を長手順の詰みに討ち取ったのは見事だった。AIは第1図時点で詰みを見つけていなかった。まさに「AI超え」の終盤力だった。

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 永瀬の玉は第1図の8八から、第2図の矢印のルートで逃げ回り、7五の地点で投了した。さらに敵陣の5一(ラグビーで例えるとトライにあたる)まで逃げる手順を含めると37手詰めになった。なお、永瀬が途中で別の逃げ方をすれば詰まなかったが勝ち目はなく、詰みをうすうす感じながら首を差し出したといえる。

名人戦の詰み手順は変化手順が多々あったのに…

 今年3月に「詰将棋解答選手権」が行われ、棋士や女流棋士、奨励会員にアマの詰将棋愛好家など、100人近くが出場した。藤井は数年ぶりに出場すると、多くの超難問を異次元の読みの深さと速さで全問正解し、6回目の優勝を果たした。詰将棋でも絶対王者だった。ちなみに初出場した伊藤匠叡王(22)は13位だった。

 藤井は名人戦第1局での詰み手順は、それほど難しくないと語った。しかし詰将棋の問題は、どんなに難解でも必ず詰むという前提がある。実戦においては詰むかどうかは不確実で、実際に読みにくい枝葉の変化手順が多々あった。それを驚異の読みで解き明かしたのだ。藤井名人は名人戦3連覇に向けて好発進した。永瀬九段は次の先手番となる第3局で初勝利を挙げれば、名人奪取の可能性はまだ残っていると思う。

 名人戦第2局は4月29、30日に東京都大田区「羽田空港第1ターミナル」で行われる。

〈将棋特集:つづく〉

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