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「いまは失敗すると叩かれる。でも…」日ハム“新庄剛志監督の母校”が甲子園で復活のワケは? 元チームメイト監督が実践する「失敗のススメ」 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph bySankei Shimbun

posted2025/03/26 11:04

「いまは失敗すると叩かれる。でも…」日ハム“新庄剛志監督の母校”が甲子園で復活のワケは? 元チームメイト監督が実践する「失敗のススメ」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

西日本短大附属を率いる西村慎太郎監督。高校時代は現日ハム監督の新庄剛志氏とチームメイトだった

 西村が新庄に敬意を示しながらも「ただ、ひとつだけ真似したいのは」と回答を繋げる。

「選手をよく観察していますよね。高校時代からそうだったんですよ。自分は野球が下手だったんですけど、新庄みたいなうまい選手から『よくなってるよ』と言ってもらえると、こっちもその気になるじゃないですか。そういう人に対する気配り、目配り、心配りが監督になった今でもできているから、いいチームを作れるんだろうなと思って見ています」

 新庄の人心掌握の妙を饒舌なまでに語る西村は「見習って取り組んでいるんですけど、なかなか」と苦笑する。

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 そう卑下しても、新庄からインスパイアされた指導は選手に響いている。

 エースの中野琉碧が言う。

「普段はめちゃめちゃ厳しくて怒られることも多いんですけど、試合になるとアゲてくれる言葉をいただけるんで。甲子園でも試合前はちょっと緊張していたんですけど、その気にさせてくれることを結構叫んでました」

西村監督「失敗するくらい思い切りやれ!」

 中野が教えてくれた、「気分をアゲてくれる言葉」とはこれだ。

「失敗するくらい思い切りやれ!」

 監督からの、救いにも似た檄によって奮起した中野は、初戦で大垣日大を完封した。選手をその気にさせ、チームを勝利へと導いた西村は、2回戦でも試合前に同じフレーズを叫び、魔法をかけた。

 気持ちを昂らせたチームは打線が爆発。2本のホームランが飛び出し11得点を挙げ、一昨年の日本一で昨年のベスト8である強豪・山梨学院を撃破したのである。

 大会5本のホームランのうち3本が西日本短大附と(※準々決勝第1試合時点)、この甲子園で攻撃力の高さを見せつける。そのバックボーンとして、西村が叫ぶほどに説きたい“失敗のススメ”も決して無縁ではないはずだ。

【次ページ】 「トライ&エラー」が成長に繋がる

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