テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

「デコピンっていうんですけど」大谷翔平が米メディアの質問に笑顔だったが…その後、番記者はなぜ「質問の仕方を間違えた!」と悔やんだか

posted2025/03/22 11:01

 
「デコピンっていうんですけど」大谷翔平が米メディアの質問に笑顔だったが…その後、番記者はなぜ「質問の仕方を間違えた!」と悔やんだか<Number Web> photograph by MLB Photos/Getty Images

2023年のア・リーグMVP発表時の大谷翔平とデコピン。ドジャース入団会見でもメディアから質問が

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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 ひとりの番記者として大谷選手にした数百の取材質問の中から、WBC優勝、2024年ワールドシリーズ、記憶に残る試合、真美子夫人との結婚や愛犬デコピン、二刀流など、メジャー移籍後を中心に背番号と同じ17の質問を選び、回答や記者とのやり取りから人間・大谷翔平をあらためて見つめる。書籍『大谷翔平への17の質問ー取材現場で記者はどんな葛藤と戦いながら質問をするのかー』(アルソス)から一部転載にてご紹介します。〈全6回/第1回からつづく〉
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127日ぶりの取材対応はドジャース入団会見

 2023年12月14日。私はドジャースタジアムで開催されたドジャース入団会見のために渡米した。その年の8月9日以来、実に127日ぶりの取材対応だった。

 入団会見では、決断の決め手はもちろん、スポーツ界史上最高の10年総額7億ドル(決定時約1015億円)の超大型契約、そのうちの97%である6億8000万ドル(同約986億円)を後払いにすることなど多くの経緯を確認しなければならない。頭の片隅で「愛犬とともにMVP発表中継に参加した経緯」も聞きたいとは思っていたが、それは会見の「流れ次第」だと感じていた。

 また、野球記者以外の記者も集まる大きな会見の後には、番記者による囲み取材が用意されることもあるが、この日は「会見後の囲み取材なし」と事前に通達されていた。

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 会見場となったのは、ドジャースタジアムの客席裏にある「センターフィールド・プラザ」という屋外エリアで、約300人の報道陣が集結。報道受付の長い行列を通過後に「場所取り」がスタートしたが、なんとか4列目の席を確保できた。テレビカメラ、スチルカメラがそれぞれ60台以上セットされ、大谷も「嬉しく思うと同時に、報道陣の方しか今日はいないと聞いていたので、予想より多くて今はビックリしています」と驚いていた。

デコピンで沸いた会見で回ってきた順番

 午後3時からの会見は挙手制で質疑応答がスタートした。会見は米記者から質問することになっており、この日もそうだったが、数人の米記者が質問し終わったところで「早めに手を挙げなければ、何も質問できずに終わってしまう」と気づいて焦った。大谷の話を聞きながら手を挙げ、次の質問者を決める広報部長の目をじっと見ながら「私を当ててくれ」という念を送り続けた。が、その念はなかなか届かなかった。

 会見が後半に突入すると、いきなりカジュアルな質問が飛び出した。

【次ページ】 事前に用意した質問か、デコピンを聞くべきか…

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