- #1
- #2
テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「大谷翔平は気恥ずかしいのかも」と思ってたら…“ふと口にした二刀流”に番記者たちがザワついたワケ「人間らしさを垣間見たようで」
posted2025/03/18 11:04

大谷翔平にとって、2025年は順調であれば投打二刀流復活のシーズンとなる
text by

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph by
Nanae Suzuki
ひとりの番記者として大谷選手にした数百の取材質問の中から、WBC優勝、2024年ワールドシリーズ、記憶に残る試合、真美子夫人との結婚や愛犬デコピン、二刀流など、メジャー移籍後を中心に背番号と同じ17の質問を選び、回答や記者とのやり取りから人間・大谷翔平をあらためて見つめる。書籍『大谷翔平への17の質問ー取材現場で記者はどんな葛藤と戦いながら質問をするのかー』(アルソス)から一部転載にてご紹介します。〈全6回/第2回につづく〉

【質問:二刀流を何歳までやりたいと思っていますか?】
大谷自身が「二刀流」と口にすることは少ない
「二刀流」という言葉は、大谷の活躍とともに広く世間に知れ渡った。野球に関心があるなしにかかわらず、子どもから高齢者まで「投手と打者の両方をこなす選手」と答える人が大多数と言っても過言ではないだろう。
記者や媒体によっては「二刀流」ではなく「投打二刀流」と丁寧に記す場合もあるが、今は「二刀流」だけでも意味が通じるようになった。語源は、剣豪の宮本武蔵が生み出した2本の刀を用いる剣術だが、元の意味で使うことは今はほとんどない。酒と甘いものを両方好きなことを意味したり、2つの事柄を同時並行で進めていくことを表現したり、生活に浸透した言葉だ。
ADVERTISEMENT
しかし、大谷本人が「二刀流」という言葉を口にすることは少ない。
質問者が「二刀流」という言葉を使って大谷に質問したことは数知れないが、本人が自分のことをそう表すことは稀。だからと言って嫌がっているようにも見えない。どれだけ「二刀流」という言葉が市民権を得ようと、大谷としては自分で言うことへの気恥ずかしさがどこかにあるのかもしれない。
大谷が自ら「二刀流」と口にした日
メジャー移籍後から記録している私の「大谷のほぼ全談話」に、その言葉を自ら発したという取材メモが残っていた。2020年2月15日、前述した花巻東高のチームメイトだった小原大樹さんがメジャーリーグの入団テストに挑戦中という話題を振られたときだった。